どうも、あおりんごです。
先日、第139回事業年度における2023年度の日本銀行の決算が発表されました。
今回は最新版の日本銀行の財務諸表をご紹介します。
- 経常収益は約5.1兆円と大幅増収
- 内訳は経常収益の34%は国債利息、33%は外貨為替収益
- 2023年度の特筆は外貨為替収益で前年比+88%
日本銀行の財務諸表を時系列分析
日銀の貸借対照表を分析する2つのポイント
まずはじめに日本銀行(以下、日銀)の貸借対照表です。
グラフ1. は日銀の2013年度から直近2023年度までの貸借対照表の推移です。
このデータより、特筆するポイントが2つあります。
- 2023年度は2022年度より21兆円の資産増
- 国債、貸出金が前年より増加
ポイント1. 2023年度は2022年度より21兆円の資産増
2013年以降は日本の景気に活気を取り戻すべく安倍元総理の経済対策であったアベノミクスのもと、日銀総裁の黒田氏による通称黒田バズーカにより日銀の総資産が増加しています。
この結果、異次元金融緩和と呼ばれるようになりました。
一方で2023年度は、総裁が変わった中、総資産は増加傾向にあります。
■【いつから】金融政策に影響を及ぼす日本銀行から発射した黒田バズーカとは
■8年間のアベノミクス終了!!安倍政権による大胆な金融政策を振り返る
ポイント2. 国債、貸出金が前年より増加
日銀の貸借対照表の中身は、ほとんどの資産が日本政府が発行する国債です。
今年度末では微増しています。
ただし、植田総裁に変わり金融政策の大きな方向転換を迎えました。
今後は国債の買入額を減額する方針であることからこれからの増加は考えにくいです。
日銀の損益計算書を分析する3つのポイント
次に日銀の損益計算書です。
グラフ3. は2013年度から直近2023年度までの日銀の損益計算書の推移です。
日銀の損益計算書からは以下の3つのポイントがわかります。
- 経常収益は約5.1兆円と大幅増収
- 内訳は経常収益の34%は国債利息、33%は外国為替収益
- 2023年度の特筆は外国為替収益が1.6兆円と前年比+88%
ポイント1. 経常収益は約5.1兆円と大幅増収
グラフ3.より日銀の経常収益(企業で言う売上)は約5.1兆円になっています。
これは、前年の2022年度より34.2%増収となりました。
ポイント2. 内訳は経常収益の34%は国債利息、33%は外国為替収益
グラフ4. より、経常収益のうち国債利息が1.7兆円(34%)です。
つまり、日本銀行は国債を資産とし、政府からの国債利息1.7兆円を収入源としています。
その他、内訳は以下のとおりです。
- 国債利息:1.7兆円(34%)
- ETFの分配金等:1.2兆円(24%)
- 日銀保有株式の売却益等:0.4兆円(8%)
- 外国為替収益:1.7兆円(33%)
- その他:1.0%
ポイント3. 2023年度の特筆は外国為替収益が1.6兆円と前年比+88%
2023年度で特筆すべき点は、外国為替収益が1.6兆円と前年比+88%と大幅に増加していて、日銀の収益の中でも33%も占める結果となりました。
これは昨今の日米金融政策の差で生まれた円安によるものです。
日銀があげた利益の95%が日本政府の税外収入になる
さて、日本銀行の利益は95%が日本政府の税外収入となります。
これをシニョリッジ(国庫納付金)いいます。
意外に知られていない日本政府と日本銀行との関係性とは
意外と知られていない日本政府と日本銀行の関係性について書きます。
政府と日本銀行は企業で言う親子関係です。
企業でも、子会社の利益は親会社に吸収されますよね。
これは以下の記事で解説しておりますので、ぜひご覧ください。
日銀の過去の決算分析
■【2022年度】日本銀行、決算発表!日本のETF買い増し続けて分配金1兆円越えの勝ち組な財務諸表を分析
■【2021年度】日本銀行、決算発表!円安効果受けスギな財務諸表を分析
■【2020年度】日本銀行の総資産や経常収益は?財務諸表を分析
■【2019年度版】金融調整の役割を担う日本銀行の財務諸表を分析
まとめ
今回は最新版の日本銀行の財務諸表をご紹介しました。
- 経常収益は約5.1兆円と大幅増収
- 内訳は経常収益の34%は国債利息、33%は外貨為替収益
- 2023年度の特筆は外貨為替収益で前年比+88%