どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。
あなたは日本の中央銀行が日本銀行であることを知っていましたか?
中央銀行は「銀行の銀行」とも言いますが、その中央銀行である日本銀行の役割をどれだけ理解していますか?
どうしても難しいイメージが強いのではないでしょうか。
そこで今回は、日銀の役割とそこから世の中に与えるお金への影響をわかりやすく解説していきたいと思います。
①「銀行の銀行」である日本銀行の役割とは
日本銀行の設立と現在の場所
まず日本銀行とは一体どんな組織なのでしょうか。
日本銀行とは「銀行の銀行」の名の通り、民間銀行の最後の砦となるのが日本銀行であり、日本の中央銀行にあたる。
日本銀行は1882年(明治15年)10月10日に設立されました。
2020年4月現在の総裁(いわゆるトップ)は 黒田 東彦(はるひこ) 氏 です
場所は東京駅の北側に位置します。
日本銀行の目的
日本銀行の目的は「日本銀行法」に記載されています。
第一条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。
「日本銀行法」より引用
2 日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。
(通貨及び金融の調節の理念)
第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
(日本銀行の自主性の尊重及び透明性の確保)
日本銀行の目的をまとめると、
- 物価の安定
- 金融システムの安定
となります。
これらを達成させるために金融政策を行っています。
そして日本銀行は、日本で唯一お金を発行することができる機関でもあるのです。
日本銀行の役割
日本銀行の役割は水道で言う蛇口というように、世の中の
- お金の量の増減(公開市場操作)
- 金利の上げ下げ
によって、お金を調節しています。
つまりお金を増やしたり、減らしたり、金利を上げたり、下げたりしています。
これらの方法を利用して、民間銀行(都市銀行や地方銀行など)にあるお金を流れやすくしたり、流れにくくしたりしたりしています。
そのため中央銀行は「銀行の銀行」と言われています。
日本経済の現状を読み解く日銀短観の発表
日本銀行は日本の金融機関の胴元であるため、日本で1番金融状況の情報を持っています。
そして、日本銀行は民間企業にアンケートをとって、日本の経済状況を四半期ごとに1度発表しています。
②民間銀行(金融機関)が持つ日銀当座預金とマイナス金利とは
日本銀行には、民間銀行が必ず開いている日銀当座預金があります。
この日銀当座預金は2020年4月現在は3層構造となっています。
そして、この3層構造の一部にマイナス金利が付与されている仕組みとなっています。
マイナス金利は2016年に黒田氏が追加緩和として行った政策(通称:黒田バズーカ)です。
ところで、金利がマイナスになるということで、世間では「日銀のマイナス金利が個人にまで影響!!」などと賑わしていましたが、記憶に新しいかと思いますが、正直に言います。
このマイナス金利はぼくたちに直接影響しているわけではありません 。
このマイナス金利は、黒田バズーカによって日銀が国債を買いオペするうちに増える日銀当座預金の額を調節するために設けられました。
そのためマイナス金利は直接的には僕たちに関係していません。
③日本銀行と民間銀行にある準備預金制度とは
民間銀行が日銀当座預金にある一定額を必ず預けていないといけない制度があり、この制度のことを準備預金制度といいます。
④日本銀行が行う公開市場操作(日銀オペ)とは
日本銀行は公開市場操作を行います。
公開市場操作(日銀オペ)とは、日銀が行う金融調節の手段であり、例えば日本政府が発行している国債を買う、または売るなどをして世の中のお金の量をコントロールする操作のこと
日本銀行がこの日銀オペレーションを行うことで、世の中のお金を調節しています。
また公開市場操作にはいくつかありますのでご紹介したいと思います。
国債市場に対する買いオペ、売りオペ
日本銀行が行う代表的なオペレーションのひとつでもある買いオペ、売りオペを説明していきます。
上でも少し触れましたが、日本銀行は日本政府が発行する国債を売買することで世の中へお金、つまり現金を供給したり、吸収したりします。
日本政府が発行する国債を日本銀行は資産として保有します。
日本銀行による金融緩和と金融収縮
日本銀行が買いオペを行えばお金が世の中へより多く流れることになるので、一般的には「金融緩和」されるといいます。
一方で、日本銀行が売りオペを行えばお金が世の中から吸収されることになるため、このことを一般的に「金融収縮」されるといいます。
株式市場に対するETF買入れ
日本銀行の買いオペ売りオペの双璧をなしているオペレーション、日本銀行によるETF買入について説明していきます。
俗に言う日銀砲といいますが、日経平均連動型のETF買入れやREIT連動型のETF買いを行うことで、株式市場の下支えを行う操作のことです。
2020年2月から4月現在まで猛威を奮っているコロナウイルス感染症によって、日銀は年間のETF買入額を今までにないほどの12兆円としました。
特別な国債売りオペ(売り現先オペ)
日本銀行は、決算期末となる3月ごろに、市場に国債を供給するために条件付でに売りオペを行います。
つまり具体的には「6ヶ月後に日銀が売った国債を買い戻す」という条件です。
そうすることで、国債の不足をしないようにしています。
⑤日本政府と日本銀行の関係性とは
日本政府と日本銀行は企業の親子関係
日本政府と日本銀行との関係性は、企業で言うと親子関係で成り立っています。
それを表すのが日本銀行の出資者です。
日本銀行の出資者は日本政府になります。
日本銀行と政府小切手とは
日本政府が発行した政府小切手は日銀当座預金を担保に発行されます。
日本銀行の通貨発行益と国庫納付金とは
日本銀行は通貨を発行すれば通貨発行益という利益が得られます。
またそれは国庫納付金として利益を政府に納めなければいけない関係性となっています。
⑥マネタリーベースとマネーストック統計とは
公開市場操作によって売り買いされた国債の代金授受は上記で説明した日銀当座預金で行われています。
それらのお金の量がマネタリーベースと言われています。
ちなみにマネタリーベースの式は
マネタリーベース:日銀当座預金額+紙幣+貨幣
となります。
一方で、マネーストック統計とは、マネタリーベースを含む日本の世の中に流れるすべてのお金のことを指します。
さらに、マネタリーベースとマネーストック統計の違いについても別の記事で解説しています。
⑦日本銀行と世界各国の中央銀行との関係性
日本円は世界の中でも使用されている部類に入ります。
一方で世界で1番通貨の利用量が多い通貨は米ドルとなります。
ということもあってアメリカや世界各国で経済危機などが起これば、米ドルが世界的に不足しないようにお金の流れる道を通りやすくしないと、経営破綻する企業や国が出てきてしまいます。
そんなときには世界各国で通貨スワップ協定という協定を結びます。
直近ではコロナショックの2020年3月にまずは数カ国で結ばれました。
少し遡ると、2008年のリーマンショックにも通貨スワップ協定が結ばれました。
このように通貨スワップ協定は金融危機、経済危機のときに結ばれることがよくわかります。
⑧MMT(現代貨幣理論)とは
最後にMMT(現代貨幣理論) についてご紹介します。
MMT(現代貨幣理論)とは、Modern Money Theoryの略で、2019年4月ごろにアメリカの経済学者ステファニー・ケルトン氏が発表した理論です。
⑨日本経済と日本銀行の昭和金融恐慌の歴史
日本にも金融恐慌がありました。
それは昭和金融恐慌といわれ、ちょうど100年ほど前の1927年に起こりました。
⑩日本銀行によるお金の流れの影響
これまで説明してきた日本銀行のことをまとめると、日本銀行は世の中にあるお金の量とお金の流れをコントロールできることがわかりました。
図2. のように、日銀が民銀や株式市場との間に公開市場操作をはたらかせることによって、世の中のお金の量や流れがコントロールされることがわかります。
民銀は日銀から受けた影響や各銀行の売上状況によって、貸出金利などコントロールし、そのあとに企業や個人まで波及してくることがわかります。
まとめ
ぼくたちが普段何気なく使っているお金は、日銀がお金の流れをコントロールすることによって物価や金融システムを安定化させていることがわかりました。
日銀の役割をきっちりと理解することで、世の中のお金の流れはもちろん、経済の動きも見えてくるものがあります。
これからももっとお金の流れへの理解をじっくりと深めていこうと思います。
あおりんご