どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。
2019年の春先に話題になっていたMMT(現代貨幣理論)はご存知でしょうか。
正直「全くわからないけど単語だけは知ってる!」という方も多いのではないでしょうか。
そういうのではなく、しっかりと理解したいですね笑
結論から言えば、国と日本銀行が結託すればいくらでも世の中にお金を流し放題!ということです。
それができるならお金がほしいという方であれば「なんでやらないの!」と声が聞こえてきそうですね。
甘いお話にはウラがあるのと同じように、もちろんリスクもあります。
そこで今回は、理想のMMT(現代貨幣理論)を解説していこうと思います。
誰も知らないMMT(現代貨幣理論)とは
MMT(現代貨幣理論)
ではまずはじめにMMTについてご説明したいと思います。
2019年に入ってアメリカや日本でかなり話題になりました。
MMT(Modern Monetary Theory)とは、日本語では現代貨幣理論というもので、アメリカ経済学者のステファニー・ケルトン教授が提唱した理論のこと。
ちなみに、ケルトン教授は日本のことを「日本の『失われた20年』はインフレを極端に恐れたからだ」といっている。
となっています。
MMTを解説するために登場する用語
MMTを解説するために登場する用語は以下のとおりとなっています。
(それぞれの用語は別の記事で解説しているものもありますので、合わせてご覧ください)
BSとPLの大まかな形を示しておきたいと思います(図1.)。
さらにこのBS、PLをそれぞれの政府、日銀、民銀にわけて並べます(図2.)。
このようになりました。
それでは準備が整いましたので、簡単な用語とこの6つの枠組みでMMTを解説していきましょう。
わかりやすいMMTの解説
国債発行によって世の中に流れるお金の動き
民銀が政府の国債を購入
まず日本政府が国債を発行します。
そして民間銀行が国債を買います。
国債は無リスク資産でありますので、民銀は国から利子がもらえます。
銀行側からすれば、現金で保有しておくよりも少しでも利息が得られる国債で持っていたほうがお得ということになります。
従いまして、民銀が国債を買うことになります。
日銀が民銀が持つ国債を購入(買いオペ)
次に日銀は、民銀がもつ国債を買います。
これを買いオペといいます。
買いオペは日銀の金融緩和政策のひとつとして行われています。
日本で唯一お金を発行する権利を持っている日銀が買いオペを行うことで、国債の代金が日銀当座預金を通じて民銀に支払われます(図6.)。
実は、こうして世の中にお金が流れていきます。
日本銀行が世の中にお金を調節するために、国債を買ったり売ったりしているお金の動きに関しては以下の記事でも解説しておりますので合わせてご覧ください。
日銀が買いオペを行うことでマネタリーベースは増加します。
その推移については以下の記事で分析しておりますので合わせてご覧ください。
政府(親)と日銀(子)のお金の動き
日本銀行の通貨発行益と国庫納付金とは
政府と日銀は、企業で言えば親子関係にあたります。
このとき、日銀が国債を持つことによって政府から得られる利子収入を、通貨発行益といいます。
そして、通貨発行益は国庫納付金として政府に納めなければいけないことになっています(図9.)。
そのため、日銀が得られた通貨発行益はそのまま国庫納付金となります(図10.)。
政府が日銀から得られる税外収入
政府は日銀からの国庫納付金を税外収入としています(図9.、図11.)。
さらに、この税外収入から国債の利息が日銀に支払われます(図12.)。
ここでわかることは、通貨発行益 → 国庫納付金 → 税外収入、、となることです。
そして結局は政府の税外収入から国債の利子が支払われるということです。
つまり、通貨を発行すればどんどん政府(国)へお金が入る仕組みができあがるということですね。
ちなみに政府の費用は、この国債の利子支払い以外に公共事業を行うのための必要経費も含まれています(図12.)。
政府としての利益はマイナスとなっていますが、それを補うための国債(負債)と国の資産があれば政府のバランスシートは保たれます(図14.)。
政府と日銀のBSの動きは以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。
政府が道路建設などの公共事業を増やすことで、それに必要な材料や人件費をビジネスとする人々が儲かります。
結果的に、理論上では経済が活性化されます(図15.)。
ここまでが基本的なMMTのスキームです。
ギモンに思うかもしれませんが、政府が国債を発行したあとにやってくる償還(借金を返済する日)を迎えればどうすればいいのでしょうか。
そのときは借換債という国債を発行し、得られたお金を償還する国債にあてることで解決されます。
日本がMMTを行える1つの理由
なぜ日本ではMMTが行えるのでしょうか。
自国で通貨が発行できるから
日本は、自国での通貨発行が可能となっています。
つまり自国で自国の国債を買うことができるということです。
また、それだけ大きな経済圏も国内でもっているからです。
欧州などは、それぞれの国で通貨発行権を持たないためMMTができません。
MMTの重大なリスク
このように、自国でお金がたくさん発行できるのであればこんな声が聞こえてきそうですね。
「もっとたくさんお金を刷って国民にお金を配ればいいじゃないか」
そうですよね、お金配ってほしいですよね。
でも、いいお話には落とし穴があるようにうまいことにはいきません。
MMTには、重大なリスクを抱えています。
お金をたくさん世の中に流すことで起こる
インフレ
です。
たくさんお金を刷れば、世の中にお金が沢山出回ります。
そうなればインフレになります。
インフレとは、モノの価値が上がってしまうことです。
そしてやりすぎると、ハイパーインフレになります。
みんな大好き現金も価値が下がり、目減りします。
つまり、MMTをやりすぎるとインフレになって国が疲弊していきます。
日本は1927年の昭和金融恐慌後や1946年~1949年ごろの第二次世界大戦終戦直後でインフレで大変苦労しました。
まとめ
今回はMMTについて解説してきました。
MMTは、政府と日本銀行が結託することで世の中へどんどんお金を流すことができることがわかりました。
甘いお話がある一方で、MMTには重大なリスクがであるインフレがあることもわかりました。
2010年〜2020年のこの10年間で日本の金融状況は変化を迎えていました。
2012年にアベノミクスがはじまり、日銀には黒田総裁が就任しました。
それから黒田バズーカのもと、金融の異次元緩和を進めてきました。
そしてこれらの金融緩和を行った結果、それらのお金は日銀当座預金にたんまりと入っており、それはマネタリーベースの増加で確認できることを説明しました。
日銀当座預金が使えるのは、民間銀行と政府のみとなっています。
つまり、民間銀行が使わないのであれば政府が使えば世の中にお金を流すことができます。
これは政府がお金を使う土壌が整っていることを意味します。
2020年4月に、政府はコロナウイルス対策のために108兆円という規模の経済対策を行うことを示しました。その記事に関しては以下で解説しています。
火山のマグマだまりに溜まったお金が、今からどんどんと世の中にお金が流れ出てくるでしょう。
参考文献
・高橋洋一(2017)『99%の日本人がわかっていない 国債の真実』あさ出版.
・日本経済新聞「提唱者・ケルトン氏に聞く インフレを恐れるな/雇用創出で赤字縮小」2019/4/13
・ダイアモンド「財政赤字容認の「現代貨幣理論」を“主流派”がムキになって叩く理由」2019/4/26