1. 知識

【推移】マネタリーベースとマネーストックの違いと関係性をわかりやすく解説

マネタリーベース合計

どうも、あおりんごです。

 

ニュースではよく マネタリーベース だったり マネーストック だったりと報道されています。

でもニュースでは報道されているけど、よくよく考えるとこれって実際なんなの??としっかりと理解されている方も少ないのではないでしょうか。

 

そこで今回は、マネタリーベース、マネーストックの解説について日銀から持ってきたデータを交えてご紹介したいと思います。

 

日銀について

まずは日本銀行(日銀)についてです。

日本銀行は日本の中央銀行で主に以下の役割をになっています。

 

【日銀の役割】

  • 日本における物価の安定
  • 金融システムの安定

 

これらを達成させるために、金融政策を行って世の中のお金を流れさせています。

日銀の役割に関しては以下の記事で詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。

【関連記事】

⇒ 【日本銀行の役割とは】日銀と世の中のお金の流れをわかりやすく解説

 

日銀は短観というものを3ヶ月おきに出しています。

これは日本の景気の定点観測としてとても役立ちますので、ぜひともご覧ください。

【関連記事】

⇒ 【簡単】わかりやすい日銀短観の解説 2019年7月 発表

⇒ 【簡単】わかりやすい日銀短観の解説 2019年10月 発表

⇒ 【簡単】わかりやすい日銀短観の解説 2019年12月 発表

 

マネタリーベースとそのデータ

マネタリーベースとは

マネタリーベースはつぎのように計算します。

 

【マネタリーベースの計算式】

マネタリーベース = 日本銀行券発行高 + 貨幣流通量 + 日銀当座預金

  • 日本銀行券発行高:お札の量
  • 貨幣流通量:硬貨の量
  • 日銀当座預金:民間銀行が日銀に預けているお金の量

 

これで計算できます。

つまり マネタリーベースとは「お札、硬貨、民間銀行が日銀に預けているすべてのお金の量」 なります。

 

2016年に日銀総裁の黒田さんが発動したマイナス金利は、世の中が騒がしくなりました。

あのマイナス金利はぼくたちの銀行預金に直接影響するのではなく、日銀当座預金のほんの一部に与えた金利だったんですね。

 

【関連記事】

【簡単】日銀当座預金とマイナス金利をわかりやすく解説

【準備預金制度とは】日本の準備預金額と準備率についてわかりやすく解説

 

では日銀から流れ出るお金の量であるマネタリーベースがどれだけ増えているのかをデータで見ていきましょう。

 

マネタリーベースのデータ

2000年から2019年現在までのマネタリーベースの合計をデータで見ていきましょう。

 

マネタリーベース合計
図1. マネタリーベース合計
日銀データベースより出典)

ご覧いただけるとわかりますように、マネタリーベースが2012年を堺に約380兆円ほど増えています。

このデータを見るだけでも、世の中のお金の量がものすごい “増えているように” 見えます。

 

そうです、増えているように見えてしまいます。

 

マネタリーベースの計算式を思い出していただけるとわかるかと思いますが マネタリーベースはお札、硬貨、日銀当座預金の合計 でした。

 

つぎに

  1. お札
  2. 硬貨
  3. 日銀当座預金

の3つの増加量をわけてみて、それぞれどれが一番増えているのかをデータで確認していきましょう。

 

日本銀行券発行高のヒストリカルデータ
図2. 日本銀行券発行高のヒストリカルデータ
日銀データベースより出典)
貨幣流通高のヒストリカルデータ
図3. 貨幣流通高のヒストリカルデータ
日銀データベースより出典)
日銀当座預金のヒストリカルデータ
図4. 日銀当座預金のヒストリカルデータ
日銀データベースより出典)

図2.~図4.のこれらのデータは、2000年から2019年現在までのデータです。

この期間の増加量を比較してまとめると、以下の通りになります。

 

  • 日本銀行券発行高:52兆円増
  • 貨幣流通高:0.7兆円増
  • 日銀当座預金:386兆円増

 

このようにマネタリーベースをわけてみてみると 日銀当座預金だけ が増加していることがはっきりとわかります。

 

マネタリーベースを増加させた3つの狙い

2012年に政権が安倍政権となり、金融政策である異次元緩和によってマネタリーベースを増加させることを決定しました。

当時は 黒田バズーカ とも呼ばれていました。

 

マネタリーベースを増加させた狙いは以下の3つです。

  1. 日銀がお金を大量に刷って、マネタリーベース(日銀当座預金)を増加させる
  2. 民間銀行が融資し、マネーストック(世の中のお金)が増える
  3. 世の中のお金の量が増えると景気が活性化され、好景気になる

 

ここからわかることは マネタリーベースを増加させても、マネーストックは増加していない ということです。

 

つぎはマネーストックについてご紹介していきましょう。

 

マネーストックとそのデータ

マネーストックとは

マネーストックとは 各金融期間が世の中に流しているお金の量 です。

それぞれの区分は以下の通りになります。

 

マネーストックの各区分
図5. マネーストックの各区分

マネーストックは図5のような4つの区分にわけられます。

 

【マネーストックの4つの区分】

  1. M1:現金と預金
  2. M2:M1 + 準通貨 + CD(※発行者が国内銀行などに限定)
  3. M3:M1 + 準通貨 + CD(※全預金取扱機関)
  4. 広義流動性:M3 + 流動性をもつ資産

※準通貨 = 定期預金 + 据置貯金 + 定期積立金 + 外貨預金

※CD = 譲渡性預金

※流動性をもつ資産 = 投資信託 + 銀行発行普通社債 + 国債 + 外国債券 + 金銭信託 + 金融機関発行コマーシャルペーパー

 

これらはつまり 世の中に流れているお金 です。

 

マネタリーベースと同じように、

  1. M1
  2. M2
  3. M3
  4. 広義流動性

の4つの増加量をわけてみて、どれが一番増えているのかをデータで確認していきましょう。

 

マネーストックのデータ

ここからマネタリーベースと同様に、2000年〜2019年現在までのマネーストックのデータも見ていきましょう。

 

マネーストックのM1
図6. マネーストックのM1
日銀データベースより出典)
マネーストックのM2
図7. マネーストックのM2
日銀データベースより出典)
マネーストックのM3
図8. マネーストックのM3
日銀データベースより出典)
マネーストックの広義流動性
図9. マネーストックの広義流動性
日銀データベースより出典)

このようになっています。

 

【マネーストックの増加量】

  1. M1:約367兆円
  2. M2:約350兆円
  3. M3:約346兆円
  4. 広義流動性:約539兆円

 

一見するとマネーストック全体(M1、M2、M3、広義流動性)が増えていますので、世の中のお金の量が増えているようにも思えます。

 

しかしながら、気をつけないといけないのは M1がすべてに加わっている ということです。

 

実際に、広義流動性の増加量は約538兆円増えていますが、そのうちM1の増加量を除くと金銭の信託が約172兆円増加しています。

※金銭の信託:教育資金贈与信託や生命保険信託など

 

広義流動性の増加量を計算式にあてはめるとつぎのとおりとなります。

広義流動性の増加量 = 約367兆円(M1の増加量) – 約172兆円(金銭の信託の増加量)= 約3,095億円

 

つまりM1が増えていれば、全体も “増えているように” 見えてしまいます。

 

つぎのデータはM1の割合です。

 

現金通貨と預金通貨の割合
図10. 現金通貨と預金通貨の割合
日銀データベースより出典)

このように、現金通貨は12.9%、預金通貨は87.1%の割合となっており、預金通貨のほうが現金通貨よりも多いことがわかります。

 

現金通貨と預金通貨の違いはこのとおりです。

 

【現金通貨と預金通貨の違い】

現金通貨 = 日本銀行発行通貨高 + 貨幣流通量 

預金通貨 = 金融機関の当座預金など

 

では、これらの増加量もデータにより見ていきましょう。

 

現金預金のヒストリカルデータ
図11. 現金預金のヒストリカルデータ
日銀データベースより出典)
預金通貨のヒストリカルデータ
図12. 預金通貨のヒストリカルデータ
日銀データベースより出典)

2000年から2019年現在までの増加量を比較してまとめると、以下の通りになります。

 

  • 現金通貨:36兆円増
  • 預金通貨:330兆円増

 

このように預金通貨、つまり各金融機関の当座預金のみが増えていることがわかります。

 

マネタリーベースとマネーストックの違いとデータから見るまとめ

マネタリーベースとマネーストックの違いをまとめると、

 

【マネタリーベースとマネーストックの違い】

マネタリーベース:日銀が民間銀行を含む世の中全体に流しているお金の量

マネーストック:民間銀行が世の中全体に流しているお金の量

 

となります。

 

マネーストックのM1にあたる預金通貨の増加量は330兆円、マネタリーベースの日銀当座預金の増加量は386兆円増でした。

 

つまりこれらのデータから、

  • 世の中のお金の量(マネーストック)M1から広義流動性まで増えているのではなく、M1にあたる預金通貨(マネタリーベースの日銀の当座預金のみ)しか増えていない
  • マネーストックが増えていないので、世の中に出回るお金が増えていない

ということがわかります。

 

マネーストックが伸びない理由と改善点

マネーストックが伸びない理由:デフレマインド

政府や日銀による金融緩和によって日銀当座預金(マネタリーベース)が伸びているのにもかかわらず、ぼくたちの世の中に流れるお金の量(マネーストック)は伸びていないことがわかりました。

 

ではなぜマネーストックが伸びないのでしょうか。

考えられる理由は1つです。

 

お金の借り手や使い手がいない

 

お金を借りたい!使いたい!という人がいないんですよね。

平成はデフレの時代、つまり不況でした。

このデフレの時代が長くつづき、お金を使うマインドが削がれてしまっているんですね。

 

まさに デフレマインドの萬栄 です。

【関連記事】

⇒ 【GDPとは】名目GDPと実質GDPをわかりやすく解説

⇒ 【GDPデフレーターとは】GDPデフレーターをわかりやすく解説

 

となれば、お金は循環せず、貯め込む一方となります。

ゆとり世代のぼくたちはそもそもお金を使うことを知りません。

将来への不安や老後のために貯めることが第一の優先事項となっています。

 

お金は循環すること、流れることで、経済を活性化させます。

2019年に入ってMMTという理論が世の中を賑わしています。

 

このことから政府が負債となる国債を発行して、逆に日銀が資産となる国債を買わせることで世の中にお金がたくさん出回ります。

この政府と日銀の関係性は以下の記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。

【関連記事】

⇒ 【簡単】日本政府と日本銀行の貸借対照表からみる「お金の動き」のわかりやすい解説

 

そしてその出回ったお金で民間銀行が企業にお金を貸し、投資を活性化させることで、より経済が活性化するはずです。

 

マネーストックを伸ばす改善点

では世の中に出回るお金(マネーストック)を伸ばすには、ぼくたちはどのように行動すればよいのでしょうか。

改善点はつぎのように考えています。

 

国民や法人ひとりひとりが

  1. お金を投資すること
  2. お金を消費すること

 

この2つに尽きると思います。

 

結局のところなんらかの形でお金を使わなければ世の中には流れていきません。

 

体は血液の循環をよく流しておかないと体調が悪くなります。

同様に、経済もお金の流れを良くなければ不景気になります。

 

今よりも世の中のお金を循環させるために「投資」と「消費」によって流れさせることが今の日本経済に求められていることではないでしょうか。

 

まとめ

今回は マネタリーベース マネーストック についてご紹介しました。

ポイントは

  • マネタリーベースは日銀から世の中に流すお金の量
  • マネーストックは民間銀行から世の中に流すお金の量
  • マネーストックを増やさなければ、マネタリーベースを増やしても世の中のお金は流れたことにはならない
  • 国民一人ひとりの「投資」と「消費」によって、デフレマインド撲滅

 

ぼくは世の中にお金がじゃぶじゃぶの状態であると考えていましたが、今回の調べでそうではないことがわかりました。

 

体は血液の通しをよくしないと体調が悪くなります。

経済の血液も通しをよくしていきたいものです。

 

あおりんご