2-1. 日本銀行とその役割

マネーストック統計とは?銀行から供給されているお金の量をわかりやすく図解

マネーストック

どうも、あおりんごです。

 

あなたは、マネーストック統計を知っていますか?

ニュースでは報道されているけど、しっかりと理解されている方も少ないのではないでしょうか。

 

そこで今回はマネーストック統計の解説について日銀から持ってきたデータを交えてご紹介したいと思います。

この記事のポイント3つ

  • マネーストック統計は世の中にある「通貨」の量
  • マネーストック統計は4つの区分から構成される
  • マネーストック統計の増加は、主にM1によるもの

マネーストック統計をわかりやすく

マネーストック統計とは

マネーストック統計とは

金融機関以外の法人や個人などが持っている現金通貨や預金通貨といった、「通貨」に対応する資産を集計した統計のこと。

マネーストック統計の集計対象者を「通貨保有主体」といい、金融機関以外の一般法人、個人、地方公共団体・地方公益企業がこれに当たります。

言い換えるとつまり、金融機関から世の中に流れているお金の量となります。

また非居住者や中央銀行は、通貨保有主体にならず、マネーストック統計の集計対象外となります。

反対に、マネーストック統計の対象金融商品を発行している経済主体を、「通貨発行主体」といいます。

 

ちなみにマネーストック統計は、国全体にある通貨の量を集計した統計であるため株式は含まれません

株式を含んだ統計を知るのであれば、資金循環統計を見ます。

マネーストック統計の歴史(よく間違えるマネーサプライとの違い)

実は、マネーストック統計の歴史は浅く、2008年6月にスタートした統計データです。

それまで、1955年以降、景気や物価の動向を探り、先行きを見極めるために、日本銀行はマネーサプライ統計として公表してきました。

しかし、通貨保有主体や通貨発行主体、さらに金融商品の見直しを行うとともに、マネーサプライ統計から名称を変更し、マネーストック統計となりました。

マネーストック統計の時系列データを分析

マネーストック統計を構成する4つの区分を理解する

マネーストック統計は図1.のような4つの区分にわけられます。

マネーストック統計の4つの区分

  1. M1:現金と預金
  2. M2:M1 + 準通貨 + CD(※発行者が国内銀行などに限定)
  3. M3:M1 + 準通貨 + CD(※全預金取扱機関)
  4. 広義流動性:M3 + 流動性をもつ資産

※準通貨 = 定期預金 + 据置貯金 + 定期積立金 + 外貨預金

※CD = 譲渡性預金

※流動性をもつ資産 = 投資信託 + 銀行発行普通社債 + 国債 + 外国債券 + 金銭信託 + 金融機関発行コマーシャルペーパー

マネタリーベースとマネーストック1
図1. マネーストックの各区分

つまり、これらは金融機関から流れているお金の量です。

では、

  1. M1(日本銀行と全預金取扱機関)
  2. M2(日本銀行と国内銀行等)
  3. M3(日本銀行と全預金取扱機関)
  4. 広義流動性(日本銀行、全預金取扱機関、国、非居住者)

の4つの区分をそれぞれ見ていきましょう。

各種(M1、M2、M3、広義流動性)のお金の量の変化を分析

ここから、2000年〜2019年現在までのマネーストック統計のデータを見ていきましょう。

M1(日本銀行と全預金取扱機関)

まずは、M1です。

マネーストック統計 M1
グラフ1. マネーストック統計 M1
(出典:日銀データベース

グラフ1.よりM1は、2003年から2021年までに約509兆円増加しました。

なお、2021年5月1日現在におけるM1の残高は942兆円となっています。

M2(日本銀行と国内銀行等)

続いて、M2です。

マネーストック統計 M2
グラフ2. マネーストック統計 M2
(出典:日銀データベース

グラフ2.よりM2は、2003年から2021年までに約463兆円増加しました。

なお、2021年5月1日現在におけるM2の残高は1,142兆円となっています。

M3(日本銀行と全預金取扱機関)

次は、M3です。

マネーストック統計 M3
グラフ3. マネーストック統計 M3
(出典:日銀データベース

グラフ3.よりM3は、2003年から2021年までに約473兆円増加しました。

なお、2021年5月1日現在におけるM3の残高は1,488兆円となっています。

広義流動性

最後に、広義流動性です。

マネーストック統計 広義流動性
グラフ4. マネーストック統計 広義流動性
(出典:日銀データベース

グラフ4.より広義流動性は、2003年から2021年までに約667兆円増加しました。

なお、2021年5月1日現在における広義流動性の残高は1,934兆円となっています。

各種から得られた推移データの分析と結果

それぞれの増加量が多いため、一見するとマネーストック統計全体が増えているようにも思えます。

しかしながら、ここで気をつけないといけないのはM1がすべてに加わっている点です。

実際に、広義流動性の増加量のうち、76.3%がM1の増加量です。

約509兆円(M1の増加量)/ 約667兆円(広義流動性の増加量)= 76.3%

この式からM1が増えていれば全体も“増えているよう”に見えてしまいます。

マネーストック統計は、マネタリーベースとは違う

またマネーストック統計は、マネタリーベースとよく混同されますが、本当は全く違った区分を示しています。

マネタリーベースとは、民間銀行が日本銀行に預けていて、世の中に流れていない日銀当座預金の残高も含まれています。

詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。

まとめ

今回はマネーストック統計についてご紹介しました。

この記事のポイント3つ

  • マネーストック統計は世の中にある「通貨」の量
  • マネーストック統計は4つの区分から構成される
  • マネーストック統計の増加は、主にM1によるもの

あおりんご