2-1. 日本銀行とその役割

日本破綻は嘘!健全財政っぷりな理由を政府と日本銀行のBSデータで解説

‎日本政府と日本銀行の財務諸表

どうも、あおりんごです。

 

2019年10月に日本政府は消費税の増税を行いました。

ぼくは正直「本当に消費増税はする必要があるのか??」と疑問でした。

「増税しなければいけないほど日本政府は本当に財源に困っているのか?」

2023年現在も防衛費増額ための増税など、事あるごとにトキの政府は税金増額を狙っています。

 

最初に結論を伝えます。

日本政府は健全な財政だから増税しなくてもよい。また財源は税金に頼らなくとも国債発行という手段がある。」です。

この結論を見ていくために日本政府と日本銀行の貸借対照表を図解化して時系列にならべてみました。

この記事のポイント

  • 日本の財政は健全
  • 日本銀行は日本政府の子会社なので国債を相殺できる
  • 民間銀行から国債を買付するときは日本銀行がお金を刷る

結論:日本が破綻しない理由は “健全な” 財務だから

まずはじめに、冒頭お伝えしたように結論から言いますと、

この記事の結論

日本は健全な財政運営

なので「日本は借金大国だから増税しなければ!!!」というような非常事態ではないことです。

したがって日本の財政は健全であるため破綻もない、ということです。

 

一方でたしかに日本政府の貸借対照表の負債は膨れ上がっていることは事実です。

ですがその事実が問題というわけではありません。

この理由は、日本政府の貸借対照表だけではなく日本銀行の貸借対照表も一緒に見ないと、この日本政府の膨れ上がった債務が問題ないと説明できないのです。

 

ということでそれらを確認するためにまずは日本政府の貸借対照表を見ていきましょう。

日本政府の貸借対照表

それではまず、日本政府の貸借対照表を見ていきましょう。

今回は2019年度のデータを用いていきたいと思います。

日本政府の貸借対照表
図1. 日本政府の貸借対照表(出典:財務省)

図1が2009年から2019年までの日本政府の貸借対照表です。

主な資産の部は以下のとおり。

  • 流動資産
  • 有形無形固定資産
  • 出資金

一方で負債の部は以下のとおりです。

  • 公債(国債)
  • その他負債

負債項目を見ていくと、その多くが公債(国債)を占めています。

この公債がニュースでも賑わせていた、いわゆる日本の借金1,000兆円問題につながっています。

企業と違って日本政府のBSは、負債が資産よりも大きくなっているため両者のバランスを保つために「負債及び資産・負債差金額」として借方に大きくマイナス計上しています。

(今回はグラフを見やすくするために「負債及び資産・負債差金額」を貸方に計上)

日本政府の貸借対照表
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日本政府の貸借対照表を見る限り、借金(国債)をたくさんしていて負債が大きくなっているので「日本ヤバい!!!危ない!!!増税!!!」と錯覚してしまうのも納得です。

 

さて、ここでひとつ言葉をご紹介しましょう。

それは誰かの負債は、誰かの資産 です。

誰かの負債は、誰かの資産

ここでひとつ言葉をご紹介したいと思います。

それは

誰かの負債は、誰かの資産

です。

 

例えば、ぼくたち一般人がお金を借りればBS上では借金(負債)で計上されますが、貸し手である銀行側からすれば貸出金(資産)となります。

つまりさっきの言葉を言い換えると「ぼくたちの負債は、銀行の資産」なのです。

 

そして、この日本政府の貸借対照表でのポイントは「日本政府が背負った借金(国債)は、誰かの資産」という点です。

 

誰かの資産、それが日本銀行です。

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あまり知られていませんが、実は日本政府は日本銀行の最大の出資者となっているため、日本政府と日本銀行は企業でいう親子関係にあたります。

 

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つまり、連結会計すれば親子が抱えている同じ資産と負債はプラマイゼロ(いわゆる相殺)できるということになります。

 

それでは次に、日本銀行貸借対照表(BS)がどのようになっているのか見てきましょう。

日本銀行の貸借対照表

日本銀行の貸借対照表
図2. 日本銀行の貸借対照表(出典:日本銀行)

図2が2013年から2019年までの日本銀行の貸借対照表です。

主な資産の部が以下のです。

  • 国債
  • 貸出金

これらから日本政府が発行した国債は日本銀行の貸借対照表では国債が資産として計上されていることがわかります

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このことから、日本政府の借金(国債)は日本銀行が資産(国債)として買っている最大の債権者ということがわかりました。

そして上記したように日本政府と日本銀行は企業でいう「親子関係」であるため、両者の資産と負債で計上されている国債を相殺すると「日本政府の借金」は解消されることがわかります。

したがって、日本(政府)の財政は健全であることがわかりました。

じゃ日本銀行の負債はどうなってるの??

図2.を時系列でみると、日本銀行が資産として保有する国債の額がどんどん増えていることがわかります。

この理由は日銀の黒田総裁による黒田バズーカで異次元的な金融緩和により民間の金融機関が持っている(市場に流れている)国債を買っているからです。

日本銀行が国債を買っているため、もちろん日本銀行の負債も増えています。

そこで日本銀行の負債にも注目してみましょう。

日本銀行の負債には以下のように記載があります。

  • 発行銀行券
  • 預金 (日銀当座預金)

これらは2つはいわゆるぼくたち国民が日々使っている現金(預金)と言われるもので、この預金とは、民間銀行が日本銀行に預けている日銀当座預金のことです。

日本銀行は民間銀行から国債を買い取るために金額相当分の発行銀行券を発行し、各民間銀行が日本銀行に開いている日銀当座預金に入金することで決済が完了します。

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図3. 日本銀行と民間銀行との当座預金の関係性

発行銀行券と日銀当座預金をあわせてマネタリーベースといいます。

時系列でみるマネタリーベースの増加
図4. 時系列でみるマネタリーベースの増加

日本銀行の負債項目であるマネタリーベース(発行銀行券+日銀当座預金)が増加していることがわかります(図4.)。

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まとめ:日本政府は健全な財務である

「日本政府は借金が1,000兆円あるから、増税して財政を健全化しなければいけない」または「財政が破綻する」という議論もされていますが、この記事で見てきたように日本政府の財政は健全であることがわかりました。

この記事のポイント

  • 日本の財政は健全
  • 日本銀行は日本政府の子会社なので国債を相殺できる
  • 民間銀行から国債を買付するときは日本銀行がお金を刷る

あおりんご

Reference:各データに関する注記

本ブログにてそれぞれ利用しているデータは財務省や日本銀行が出しているデータを使っております。

興味のある方は財務省や日本銀行のホームページにありますでまたご覧ください。