どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。
先日、第138回事業年度における2022年度の日本銀行の決算が発表されました。
今回は最新版の日本銀行の財務諸表をご紹介します。
- 経常収益は約3.8兆円と増収
- 内訳は経常収益の36%は国債利息、30%はETFの分配金
- 2022年度の特筆はETF配当金が1.1兆円と前年比31%
日本銀行の財務諸表を時系列分析
日銀の貸借対照表を分析する2つのポイント
まずはじめに日本銀行(以下、日銀)の貸借対照表です。
グラフ1. は日銀の2013年度から直近2022年度までの貸借対照表の推移です。
このデータより、特筆するポイントが2つあります。
- 2022年度は2021年度と同程度の資産
- 国債増加額が前年より約56兆円増加
ポイント1. 2022年度は2021年度と同程度の資産
2013年以降は日銀総裁の黒田氏による通称黒田バズーカにより日銀の総資産が増加しています。
黒田バズーカは、安倍元総理の経済対策であったアベノミクスのもと、市場に今までにないほどのお金を流し、世の中の流通量を増やすことで当時落ち込んでいた日本の景気に活気を取り戻すべく行った金融政策。
この結果、異次元金融緩和と呼ばれるようになりました。
一方で2022年度は貸出金(主に共通担保資金供給オペレーションによる貸付金)の減少が目立つが、この要因は新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの残高減少です。
■【いつから】金融政策に影響を及ぼす日本銀行から発射した黒田バズーカとは
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ポイント2. 国債増加額が前年より約56兆円増加
日銀の貸借対照表の中身は、ほとんどの資産が日本政府が発行する国債です。
この国債残高が前年度末は減少傾向にあったが、今年度末は大幅に増加したことがわかります。
国債残高増加の原因は、主に10年物国債が53兆円増えている点です。
■わかりやすく図解!日銀の買いオペと売りオペとは?国債の市場公開操作を解説
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日銀の損益計算書を分析する3つのポイント
次に日銀の損益計算書です。
グラフ2. は日銀の2013年度から直近2022年度までの損益計算書の推移です。
日銀の損益計算書からは以下の3つのポイントがわかります。
- 経常収益は約3.8兆円と増収
- 内訳は経常収益の36%は国債利息、30%はETFの分配金
- 2022年度の特筆はETF配当金が1.1兆円と前年比31%
ポイント1. 経常収益は約2兆円
グラフ2.より日銀の経常収益(企業で言う売上)は約3.8兆円になっています。
これは、前年の2021年度より23.3%増収となりました。
ポイント2. 内訳は経常収益の36%は国債利息、30%はETFの分配金
グラフ3. より、経常収益のうち国債利息が1.3兆円(36%)です。
つまり、日本銀行は政府が発行する国債を買って資産とし、政府から支払われる国債の利息1.3兆円を収入源としています。
その他、内訳は以下のとおりです。
- 国債利息:1.3兆円(36%)
- ETFの分配金等:1.1兆円(30%)
- 日銀保有株式の売却益等:0.4兆円(10%)
- 外国為替収益:0.9兆円(24%)
- その他:1.0%
ポイント3. 2022年度の特筆はETF分配金が1.1兆円と前年比31%
2022年度で特筆すべき点は、ETF分配金が前年比31%と大幅に増加している点です。
ETFの分配金等は、日銀のETF買いによる投資信託会社からの分配金、さらに日銀保有株式の売却益等はその売買益です。
日本銀行は黒田バズーカのもと、日本のETFを買い増してきました。
その買い増し続けた結果分配金が大幅に増加したといえます。
日銀があげた利益の95%が日本政府の税外収入になる
さて、日本銀行の利益は95%が日本政府の税外収入となります。
これをシニョリッジ(国庫納付金)いいます。
意外に知られていない日本政府と日本銀行との関係性とは
ここで気になるのが、日本政府と日本銀行の関係性についてです。
政府と日本銀行は企業で言う親子関係です。
企業でも、子会社の利益は親会社に吸収されますよね。
これは以下の記事で解説しておりますので、ぜひご覧ください。
日銀の過去の決算分析
■【2021年度】日本銀行、決算発表!円安効果受けスギな財務諸表を分析
■【2020年度】日本銀行の総資産や経常収益は?財務諸表を分析
■【2019年度版】金融調整の役割を担う日本銀行の財務諸表を分析
まとめ
今回は最新版の日本銀行の財務諸表をご紹介しました。
- 経常収益は約3.8兆円と増収
- 内訳は経常収益の36%は国債利息、30%はETFの分配金
- 2022年度の特筆はETF配当金が1.1兆円と前年比31%
あおりんご