1-1. 日本の経済

わかりやすく図解!国債とは?日本政府が発行するその仕組み

国債の発行額推移

どうも、あおりんごです。

みなさん、日本政府が発行している国債についてしっかりと理解されていますでしょうか。

ニュースなんかでよく「国債は借金だ!!!」聞くことあります。

借金、というよりも負債であることは間違いありません

しかしながら、負債でもあり資産でもあります。

そこで今回はむずかしい金融ニュースを理解するために、国債について理解を深めていこうと思います。

この記事のポイント3つ

  1. 国債は政府が発行する負債
  2. 国債は円を発行するために必要な原資
  3. 国債の利回りは0.03%

日本政府が発行する国債

日本政府が発行する国債とは

国債とは、政府が発行する元本が保証された債務(負債)のことで、別名公債といいます。

そんな国債には以下のような性質があります。

国債の性質

  • 無リスク資産
  • 利子あり

国債は無リスク資産、つまり投資をしてもリスクがない資産という性質を持っています。

したがって、元本が戻ってくる日の償還期限を迎えれば、必ず元本が戻ってきます。

さらに元本に加えて、国債発行元の政府が利子を必ず支払うのです

国債は、企業で言えば社債に当たります。

 

誰も知らない国債の唯一の仕組み

国債は「日本の借金だ!」と言われています。

確かに国債は負債ではありますが、借金だけを強調する表現には誤りがあります。

国債が借金という表現が誤りな1つの理由

国債は通貨(日本円)を発行するための原資であり、日本銀行から見れば資産

日本でいえば通貨は “円” です。

つまり、円を発行するための原資となるのが国債となっています。

国債の最大の買い手は日本銀行で、日本銀行は日本で唯一与えられた特権を持っています。

それは通貨を発行する権利です。

つまり、日本政府が発行する国債を資産として買って市場に資金を流すために、日銀は多くのお金を印刷

これが可能なのは、日本政府と日本銀行は企業でいう親子関係にあたるからです。

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誰かの負債は誰かの資産です。

これらのことから、日本政府が負債として発行する国債を最後に日本銀行が資産として買い取るため、その負債と資産は相殺。

したがって、確かに日本政府が発行する国債は負債(借金)ではありますが、日本で円を発行できる唯一の機関である日本銀行が資産として国債を買取るために円を発行するので負債は負債でなくなります。

これらが国債の仕組みです。

国債の推移

国債の発行額推移

政府は国債の発行額を増やしています。

その推移は以下のグラフで確認できます。

国債の発行額推移
グラフ1. 国債の発行額推移

グラフ1.は財務省が公表している日本政府の財務諸表の国債(公債)項目を、2009年から2018年までのヒストリカルにグラフ化したものです。

2009年から2018年まで316兆円(+46.4%)増加していることがわかります。

そして2018年では997兆円まで発行されています。

国債の増加額推移

次に国債の増加額、つまり年々どれくらい増加しているのかをグラフ化したものが、次の図2. となります。

国債の増加額推移
グラフ2. 国債の増加額推移

グラフ2. からわかるように、2009年から2010年の増加額が39兆円であるのに対し、2017年から2018年の増加額は23兆円であることがわかります。

減少している要因といたしましては、政府が掲げている財政健全化計画にあると言われています。

国債の買い手はだれ?

では、次に発行された国債はどの機関が買っているのか、気になりますよね。

国債の買い手は、基本的には民間銀行や保険会社などの日本の金融機関です。

国債のしくみ1
図1. 国債のしくみ

なぜ、民間銀行が日本政府が発行する国債を買う(買いたがる)のでしょうか。

それは上で書いたような性質があるため現金よりお得だからです。

国債のしくみ2
図2. 国債のしくみ

現金で資産保有しておくよりも、国債を資産として保有しておく方が政府から少なからず利子の収入を得られるからです。

ヤバいかも?20代みんながやってる貯金投資のリスクを金融リテラシーから解説でもお伝えしましたが、現金でおいておくということは「現金」という資産に投資するという意味を持ちます。

金融機関に預けると多少なりとも利子は発生しますが、せいぜい0.01%です。

もちろん金融機関だけでなく、国債はぼくたち一般人などの個人でも購入可能です。

 

国債の利回り推移

それでは国債の利回りは一体どれくらいなのでしょうか。

次のグラフ3.をご覧ください。

国債の利回り推移
グラフ3. 国債の利回り推移

グラフ3. からわかるように、現在の10年保有での利回りは0.03%と現金の3倍となっています。

1番利回りのよかった時期は1990年9月の8.11%

このことから金融機関は現金よりも国債を保有しておくほうが有利であることがわかります。

民間銀行が国債を買うしくみ

次に民間銀行が国債を買うしくみついて図で説明していきますが、今回は図3.のように貸借対照表(BS)を使っていきます。

貸借対照表(BS)
図3. 貸借対照表(BS)

この貸借対照表のしくみは政府であれ、民間銀行であれ、企業であれ、個人の家計であれ全く同じ動きをします。

 

さらに図4のように2つのBSを並べます。

  1. 政府
  2. 民間銀行
国債のしくみ1
図4. 国債のしくみ

それでは準備が整いましたので、国債の動きを見ていきましょう。

国債のしくみ2
図5. 国債のしくみ

図5.のように、政府が国債を発行します。

そしてそれを民間銀行が購入します。

国債のしくみ
図6. 国債のしくみ

図6のように、政府が発行した国債が民間銀行に移りました。

購入した国債の代金の支払いは日銀当座預金に振り込まれます。

国債のしくみ
図7. 国債のしくみ

図7. のように、国債を資産として保有している状態は利子が生まれ、さらに償還期限を迎えれば必ず元本が戻ってきます。

国債による金融政策やその他の動き

政府が国債を発行し、金融機関や個人に行き渡れば市場のマネーストックが増えることになります。

さらに民間銀行が持つ国債を日本銀行が買い取ればそれは買いオペという金融緩和になり、マネタリーベースが増えます。

日本は2012年から始まった黒田バズーカによって急激にマネタリーベースが増加しています。

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まとめ

今回は、誰も知らない国債についてご紹介しました。

この記事のポイント3つ

  1. 国債は政府が発行する負債
  2. 国債は円を発行するために必要な原資
  3. 国債の利回りは0.03%

特に、国債は日本円を発行するための必要な原資であることは99%の人が知らない事実だと思います。

今後、ただの借金としてしか見ていなかった国債の捉え方が変わるのではないでしょうか。

あおりんご