2-1. 日本銀行とその役割

3層構造の日銀当座預金とは?その一部にのみかかるマイナス金利の仕組みもわかりやすく解説

当座預金残高の構造

どうも、あおりんごです。

 

都市銀行や地方銀行には、必ず日本銀行で開いておかないといけない当座預金口座があるはご存知でしょうか?

その当座預金を日銀当座預金といいます。

そして話題になったはマイナス金利ですが、実はこの金利も日銀当座預金と深い関係があります。

実はそのマイナス金利、日銀当座預金のほんの一部のみにかかっています。

 

そこで今回は、日銀当座預金についてわかりやすくご紹介していきます。

この記事のポイント3つ

  • 日銀当座預金は民間銀行が必ず開設しないといけない当座預金
  • 日銀当座預金は3層構造
  • 日銀当座預金の一部にだけ「マイナス金利」が導入されている

日銀が”銀行の銀行”であるゆえんの日銀当座預金とは

日銀当座預金とは

日銀当座預金とは

都市銀行や地方銀行などの金融機関が、日本銀行で必ず開いておかなければいけない口座で、さらに必ず一定額の預け入れが必要な預金口座のこと

 

つまり、金融機関が日本銀行に必ず開いている口座のことなんですね。

では、日銀当座預金の役割はどのようなものなのでしょうか。
 
 
 

日銀当座預金の役割とは

つづいて、日銀当座預金の役割は以下の通りです。

1. 金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段
2. 金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
3. 準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金

出典:「日本銀行ホームページ」

対象となっている金融機関は、国やその他の金融機関と決済を行うときに、日銀当座預金が必要となります

また、例えば民間銀行が持つ国債を日銀が買いオペで買ったときの代金は、日銀内にある各銀行の当座預金に入金されます。

日銀当座預金を開設している金融機関

日銀当座預金を開設している金融機関は以下の通りです。

  • 都市銀行:三菱UFJ銀行やみずほ銀行などの大きな銀行
  • 地方銀行:千葉銀行や京都銀行などの地方に拠点をもつ銀行
  • 第二地銀協加盟行
  • 外国銀行:JPモルガン・チェース銀行やバークレイズ銀行などといった海外の銀行
  • 信託銀行:三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行など
  • 信用金庫:各都道府県にある信用金庫
  • その他準備預金制度適用先

日銀当座預金の内訳

日銀当座預金は総額約540兆円あります。

その内訳は次のとおりです。

日銀当座預金の内訳
日銀当座預金の内訳
日銀当座預金の内訳
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日銀当座預金残高は3層構造で構成

実は日銀当座預金、次のような3層構造に分割されています。

当座預金残高の構造
図1. 日銀当座預金の構造

2013年のアベノミクスがはじまり、その金融政策で日銀総裁の黒田氏が通称 黒田バズーカを実行。

これにより2016年に日銀当座預金は3層構造になりました。

① 基礎残高とは(金利: +0.1%)

日銀当座預金のベースとなっている基礎残高とは以下のとおりです。

日銀当座預金の基礎残高とは

基礎残高の計算式:基準平均残高 – 法定準備

※基準平均残高(基準平残):2015年1月から12月までの期間に積まれた当座預金の平均残高のこと

※法定準備(所要準備額):日銀に必ず預け入れなければいけない最低金額

基礎残高とは、一定期間に日銀当座預金に預けられた平均残高から日銀に預けなければいけない最低限の預金(法定準備額預金)を引いた額ということですね。

この基礎残高には金利が+0.1%ついています。

②マクロ加算残高とは(金利: +0.0%)

続いて、日銀当座預金の2段目にあたるマクロ加算残高についてです。

日銀当座預金のマクロ加算残高とは

マクロ加算残高の計算式:次の3つの合計金額

  1. 法定準備預金額
  2. 貸し出し支援基金、被災地金融機関支援オペ、平成28年熊本地震にかかる被災地金融機関支援オペ
  3. マクロ加算額:日銀当座預金残高がマクロ的に増加することを勘案として、原則、3積み期間ごとに加算(計算式:基準平残 × 基準比率)

※基準比率:原則、3積み期間ごとに見直し、日銀が公表する比率

これらには、0.0%の金利が付いています。

ちなみに、この基準比率は3ヶ月ごとに見直しされているため、現在のマクロ加算残高にかけられる比率は約30%となっています。

③政策金利残高とは(金利: ー 0.1%)

最後の3段目にあたる政策金利残高には、超過分に対して–0.1%の金利がついてきます。

日銀当座預金の政策金利残高とは

政策金利残高の計算式 =

①基礎残高+②マクロ加算残高を上回る金額

この政策金利残高につく金利がマイナスとなっているためマイナス金利と呼ばれています。

そしてこのマイナス金利が黒田総裁が行った金融緩和政策のひとつでした。

なぜ日銀当座預金が分割されているのか?

では、なぜこのように分割されているのでしょうか?

政策金利残高をもつ金融機関(計算式では③)は、余剰資金をそのまま当座預金においておくよりも、他の金融機関に資金を貸し出したほうが収益は改善されます。

そのため日銀から世の中により多くの資金が貸出されるよう促すことによって、世の中の資金需要に刺激を与えようとしていることになります。

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また、政策金利残高が一定となるようにコントロールしたいからです。

日銀が黒田バズーカの買いオペによって国債を買い取った金額を、各銀行の日銀当座預金に入金するごとに日銀当座預金の超過分は増加しつづけるのです。

多くなりすぎた日銀当座預金にはマイナス金利によってさらなる増加を抑えようとしています。

 

さらに、日銀はマクロ加算残高にかけられている基準比率をひき上げることで、政策金利残高のマイナス金利の影響を和らげようとしています。

まとめ

今回は日銀当座預金についてご紹介しました。

ポイントは以下のとおりです。

この記事のポイント3つ

  • 日銀当座預金は民間銀行が必ず開設しないといけない当座預金
  • 日銀当座預金は3層構造
  • 日銀当座預金の一部にだけ「マイナス金利」が導入されている

あおりんご