2-2. 【まとめ】日銀短観

【わかりやすく解説】日銀短観を読む上で抑えるべき3つのポイントとは

日銀短観を読むために抑えるべき3つのポイントとは1

どうも、あおりんごです。

 

みなさん、「日銀短観」という資料はご存知でしょうか。

なかなか触れたことがない、見たことがないという方も多いのではないでしょうか。

実はこの日銀短観は、日本の景気を知る上ではとても重要な資料となっていて、日本銀行(以下、日銀)が、3ヶ月に1度発表しています。

 

そこで今回は経済と金融を深く理解して日常の生活に活かすために、日銀短観の見るポイントや読み方をお伝えしていきます。

3ヶ月に1度発表される日銀短観とは

日銀短観とは

日銀短観とは、以下のとおりです。

日銀短観とは

1974年5月より、日本銀行が発表する全国企業短期経済観測調査の略称のことで、日銀の金融政策の動向とも密接して関係しているため、日本の経済を知るためにとても注目されている調査。

となっています。

つまり、日銀が金融政策を決定する上でも、株や債券などの金融取引や経営者などが日本の景気の現状を知る上でもとても大切で重要な調査日銀短観ということです。

日銀短観の調査対象企業

日銀短観の調査対象は次の企業となります。

日銀短観の調査対象

全国の資本金2,000万円以上の民間企業

(金融機関、経営コンサル業、純粋持株会社、営利性の低い業種(研究機関など)は除く)

日銀短観が企業に調査する項目

日銀短観は、以下の項目の実績値や計画値を調査対象の企業にアンケートをとって集計されています。

企業は主に次の4つの区分に答えていきます。

  1. 判断項目
  2. 年度計画
  3. 物価見通し
  4. 新卒採用状況(6月、12月のみ)

この4つの区分は全部で26項目から構成されています。

判断項目

まずはじめに、最も項目数が多い判断項目です。

判断項目は次のとおりです。

  • 業況
  • 国内での製商品・サービス需給
  • 海外での製商品需給
  • 製商 品在庫水準
  • 製商品の流通在庫水準
  • 生産・営業用設備
  • 雇用人員
  • 資金繰り
  • 金融機関の貸出態度
  • CPの発行環境
  • 借入金利水準
  • 販売価格
  • 仕入価格

企業はこれらを回答していきます。

年度計画

つぎに年度計画です。

年度計画は以下の項目から構成されています。

  • 売上高
  • 輸出
  • 為替レート(円/ドル)
  • 為替レート(円/ユーロ)
  • 経常利益
  • 当期純利益
  • 設備投資額
  • 土地投資額
  • ソフトウェア投資額
  • 研究開発投資額

物価見通し

物価見通しの項目は次のとおりです。

  • 販売価格の見通し
  • 物価全般の見通し

新卒採用状況(6月、12月のみ)

最後に新卒採用状況です。

こちらは短観の6月と12月のみの調査となります。

  • 新卒採用者数

日銀短観の発表時期はいつ

日銀短観はいつ発表されるかというと、発表時期は毎年4月初、7月初、10月初、12月央となります。

また、それぞれ3月、6月、9月、12月の調査結果を公表しています。

日銀短観を読む上で抑えるべき3つのポイント

さて、それでは日銀短観を見ていく上で3つのポイントを抑えていくととてもわかりやすいです。

その3つのポイントとは以下のとおりです。

  1. 業況判断D.I.
  2. 需給・価格判断D.I.
  3. 売上・収益計画動向

ではそれぞれ見ていきましょう。

業況判断D.I.

業況判断D.I.は、日銀短観の中で一番注目度の高い指標となっています。

この指標は、調査対象企業に対して収益を中心とした業況全般を伺うもので、回答時点での最近指標と、それから回答時から3ヶ月後の先行き指標の2つを

  1. 良い
  2. さほど良くない
  3. 悪い

の3択で答えます。

また、業種別や企業規模に分けて公表もされています。

 

業況判断D.I.の計算方法は、

業況判断D.I.の計算方法

D.I.(ディフュージョン・インデックス)=

「第1選択肢の回答社数構成百分比」−「第3選 択肢の回答社数構成百分比」

(つまり、「良い」−「悪い」)

で計算されます。

また業況判断D.I.の特徴として、

  • 直近の景気循環と関連性が高い
  • 企業の売上経常利益率と相関が高い

という点が挙げられます。

相関性は以下の図で確認できます。

業況判断D.I.
図1. 「短観の読み方 -主要項目の特徴とクセ-」より引用
短観の読み方 -主要項目の特徴とクセ-2
図2. 「短観の読み方 -主要項目の特徴とクセ-」より引用

日銀短観の参考資料として、2019年4月1日に日銀が発表した短観を用意しました。

このときの業況判断D.I.は下図のようになっています。

短観1
図3. 2019/4/1の「短観」より引用
短観2
図4. 2019/4/1の「短観」より引用
短観3
図5. 2019/4/1の「短観」より引用

2019年4月1は、新元号発表によるものか非常に高く、株価も上がっていますが、経済統計的には景気先行きは悪化しています。

需給・価格判断D.I.

次に需給・価格判断D.I.です。

この指標は、企業がモノの価格動向にどのような判断をしているのか、将来のインフレ圧力を見るうえで重要となる指標です。

 

需給・在庫・価格の判断は下記の通りとなります。

  • 国内での製商品・サービス需給
  • 海外での製商品需給
  • 製商品在庫水準
  • 製商品の流通在庫水準
  • 販売価格
  • 仕入れ価格

2019年4月1日の短観では下図の通りです。

短観4
図6. 2019/4/1の「短観」より引用

こちらも表を確認してみますと、

  • 全体的にモノの需給は供給過多
  • 在庫は溜まってきている
  • 価格は下落基調

と、あまりいい印象ではないです。

まさにデフレということばがぴったりですね。

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売上・収益計画動向

最後に売上・収益計画動向です。

こちらも短観のなかで注目度の高い項目で、これらは実額ベースで調査されています。

そのため企業の収益環境を定量的に知ることができます。

 

以下が2019年4月1日の売上・収益計画です。

短観5
図7. 2019/4/1の「短観」より引用
短観6
図8. 2019/4/1の「短観」より引用

トップラインが伸びないせいか、経常利益と当期純利益も下落基調です。

なかなか厳しい経済状況かと思います。

日銀短観の記事一覧

過去に筆者が書いた日銀短観の記事を以下でまとめておりますので、合わせてご覧ください。

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まとめ

今回は、日銀が発表する日銀短観の読み方について説明してきました。

今までの日銀短観からもわかるように、日本経済はあまり良い景気ではないと判断できます。

これらの指標を踏まえて、投資をどうしていくのか考えていきたいと思います。

あおりんご


参考文献