どうも、あおりんごです。
先日、日銀が国債の売却を行いました。
「国債売ります」 日銀、3年ぶりのオペ 資金の偏在解消狙う
2020年3月23日 日経新聞
ここで気をつけないといけないのは「日銀が一般的な売りオペで国債を売ったわけではない」ということです。
今回、日銀が国債を売った方法としては、条件付き国債売却で一般的には「売り現先オペ」と言われています。
そこで今回は通常の売りオペと売り現先オペ(買い現先オペ)の違いについてご紹介したしと思います。
国債の条件付き買入、売却とは
一般的には日銀は、公開市場操作という「売りオペ」によって国債を買入したり、売却したりします。
一方で今回は条件付き国債の売却、つまり売却することに条件がついているということです。
ということは、一般的な売りオペとは違うということです。
したがいまして、国債の条件付き買入および売却とは以下の通りです。
【買入の場合】
日銀が、国債を売り戻す条件付きで買うこと
※買い入れた翌日から数えて1年以内に売り戻す
【売戻の場合】
日銀が、国債を買い戻す条件付きで売ること
※売り戻した翌日から数えて6ヶ月以内に買い戻す
ということです。
このような場合の国債の売買先の金融機関にも条件がつけられており
- 日銀に当座預金を開いていること
- 信用力が十分であること(自己資本の状況など)
つまり、国債を売買する代金の支払先である日銀当座預金を開いており、1年または6ヶ月以内であっても破綻していない信用力のある金融機関に限る、ということですね。
国債の売買方式
国債の売戻し条件付き買入
日銀が国債を売り戻す条件付きで買入する場合の方式は以下のとおりです。
買入期間利回り(買入日から売却日までの期間中の利回り)を入札につけて、コンベンショナル方式により決定
※買入期間利回りはあらかじめ表面利率が決まっている
ちなみにコンベンショナル方式とは、入札価格の高い順に発行予定額に達するまでの応札方式のことです。
国債の買戻し条件付き買入
日銀が国債を買い戻す条件付きで売戻しする場合の方式は以下のとおりです。
売却期間利回り(売却日から売戻日までの期間中の利回り)を入札につけて、コンベンショナル方式により決定
※売却期間利回りはあらかじめ表面利率が決まっている
国債の買入価格および売却価格
買入価格および売却価格
国債の条件付き売買における価格は以下のとおりとなっています。
国債の条件付き売買における金額
= 銘柄ごとに決まっている価格 x 時価売買価格比率
となっています。
価格決定に必要な時価売買価格比率
時価売買価格比率とは
時価売買価格比率とは、以下のことです。
売買される国債の種類や国債の残存期間(何年ものなのか)に応じて、国債の売買にかかる権利の行使に必要とする期間における過去の時価の変動状況に基づき算定される比率
※この比率は金融市場の情勢等を踏まえて必要な見直しを行う(原則:年1回の頻度)
ただし、時価売買価格比率全体の整合性を確保するために必要な場合には、算定した個々の時価売買価格比率に必要な調整が行われます。
国債の条件付買入で定める時価売買価格比率
国債の条件付買入で定める時価売買価格比率は以下の表の通りです。
国債の条件付売却で定める時価売買価格比率
国債の条件付売却で定める時価売買価格比率は以下の表の通りです。
補完供給を目的とした国債の条件付売却で定める時価売買価格比率
補完供給を目的とした国債の条件付売却で定める時価売買価格比率もあります。
「補完供給を目的」とはつまり、他の条件付き売買とは異なり、金融市場に国債を供給することで決算期などに決済しやすくするために行う条件付き国債の売却です。
2020年3月23日に行われた国債売却もこれにあたります。
補完供給を目的とした国債の条件付売却で定める時価売買価格比率は以下のとおりです。
国債の売戻価格および買戻価格
先程は日銀による国債を”買う価格”または”売る価格”でした。
次は買った国債を“売戻す場合の価格”または“買戻す価格”についてです。
売戻価格
国債を一旦買い、1年以内に売戻す価格は以下のとおりとなっています。
買戻価格
次に、国債の買戻価格についてです。
国債を一旦売り、半年以内に買い戻す価格は以下のとおりとなっています。
まとめ
今回は、国債の条件付き売買についてご紹介しました。
この時期は決算期でもあることから、金融市場に国債が不足しないように補完供給するための条件付き国債売却であることもわかりました。
日銀は日本の金融市場にとってとても大切な存在です。
今後の日銀の動向を追いながら、ぼくたちの普段の生活にそれらの動きを還元していきたいですね。