どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。
2020年4月6日(月)に、安倍総理が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う第三段緊急経済対策となる方針を示しました。
経済対策108兆円 中小に最大200万円給付 7日決定
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57718030W0A400C2MM8000/
その内容は、事業規模が108兆円にも上る過去最大の経済対策となっていることがわかりました。
過去最大規模となる108兆円の経済対策は年間名目GDPの19.5%、年間実質GDPの20.0%にあたります。
しかしながら、108兆円という金額は規模が大きすぎて、実際どれくらいなのかよくわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はGDPに対する108兆円の規模感覚と、この支出に対して考えられるリスクについてご紹介したいと思います。
安倍総理が示した108兆円の経済対策
2020年4月6日(月)、安倍総理はコロナショックで傾いた経済の緊急支援策として、
- 中小企業向けに最大200万円
- 個人事業主に最大100万円
- 納税や社会保険料の支払い猶予
- 家計向けへの現金給付に30万円/1世帯
- 児童手当需給世帯に子ども一人あたり1万円上乗せ
など
といった経済対策を準備しようとしていることがわかりました。
(さらなる詳細に関しては個人で調べてください)
そもそも経済対策を行う1つの理由
安倍総理がコロナショックに伴う経済対策を打ち出しましたが、そもそもなぜ経済対策を行わなければいけないのでしょうか。
それは次のとおりです。
コロナショックであれ、どんなショックや災害であれ、人の消費が減れば企業の売上が減り、利益も減る。
その結果、しわ寄せの最後は国民ひとりひとりの給料が減ることとなり、個人の消費が更に減り、借金などの支払いが滞り、日本経済が停滞する可能性があるから。
ということです。
つまり、緊急事態宣言などによって人の動きを止めてしまうということは経済活動を止めてしまうことに等しいのです。
そうなれば、最後にツケが回ってくるのは国民の、しかも中小企業や低所得者の生活にしわ寄せが来てしまいます。
これらを防ぐために、政府は自ら出費をしてでも止まった経済活動にセーフティネットを用意しようとしています。
GDPからみる108兆円の規模感
GDP(Gross Domestic Product)とは、国内総生産といういみで、ある一定期間でその国で消費された合計額のことを言います。
GDPの詳しい説明に関しては以下の記事でご紹介しています。
そして、日本国民が2019年に消費した合計量、つまり2019年の日本のGDPは
- 名目GDP:554兆円
- 実質GDP:536兆円
となっています。
直近のGDPに関しては以下の記事をご覧ください。
このような数字から、今回の日本の経済対策で行われるであろう108兆円の支出は、名目GDPからみると19.5%にあたります(図1.)。
一方で、実質GDPからみれば20%となります(図2.)。
このような数字からわかることは、108兆円という規模感覚というは日本国民全員が1年間(12ヶ月)で消費する合計量のうち、国という1つの組織が2ヶ月半分を出費する(負担)ということです。
そのようにして政府は経済の低迷を止めようとしていることを意味しています。
これだけで大きな経済対策であることがわかり、過去最大規模であることもうなずけます。
どこの財源から108兆円を出すのかが注目
108兆円は過去最大規模の経済対策であり、大きな支出であることがわかりました。
では次に、個人的にもかなり気になっているのは財源です。
つまりどこから108兆円にものぼるお金を支出するのでしょうか。
ですがこの経済対策は閣議決定前ですので、残念ながら財源に関してはまだ明記されていせんでした。
そもそもまず国の大きな財源(収入源)は
- 税収入
- 税以外の収入
の、2つです。
つまり、国民から集めた税金からの支出か、もしくは税以外から得た収入から支出するかのどちらか、となっています。
108兆円規模の支出を行うということは国民の税収からはそれだけの金額が集めれていないので、もうひとつの収入から支出するのではないか、と考えています。
もうひとつの収入とは国債の発行です。
では政府が発行した国債を買うのかというと、日本銀行です。
つまり、債務者である日本政府から発行された国債を、債権者である日本銀行が買いオペすることで、国債を買った代金は日本政府の当座預金である日銀当座預金に入るので、それで財源を生み出そうとしているのではないでしょうか。
この仕組みは2019年春に話題になったMMTのスキームと同じです。
もしくは、すでに日銀の黒田総裁によって発射された黒田バズーカにおける金融緩和政策などの日銀買いオペによって日銀当座預金に積み上がった500兆円ほどのお金を、政府はそのまま利用するかもしれません。
なにはともあれ、閣議決定はゴールデンウィーク前に決定するということなので、そのあたりの詳細もとても気なるところです。
108兆円の支出に対する、考えられる2つのリスク
インフレ
108兆円の支出はもちろんリスクも考えられます。
それはインフレリスクです。
インフレとは、モノの価値(つまり物価)が上がることを言います。
一方でインフレは、お金をたくさん世の中にばらまく(流通させる)ことで100円で買えていたりんごが、200円出さないと買えない場合が出てきます。
こういった状態をインフレといいます。
国が108兆円もの支出を行う、つまり世の中に現金を流通させるということは、経済回復後にインフレになる恐れもあります。
今の日本はデフレなので多少のインフレは問題ないと思いますが、インフレが行きすぎてハイパーインフレを起こしてしまうと国の経済が疲弊してしまう恐れがあります。
またインフレは現金の価値を下げるので、現金好きの日本人からみれば現金をたくさん持っていると逆に損してしまいます。
インフレなのかデフレなのかはGPDデフレーターで測ることができます。
GDPデフレーターについては以下の記事でご紹介しています。
ゾンビ企業誕生の恐れ
これは実際に約100年前のちょうど同じ時期の春先に起こった1927年の昭和金融恐慌でもあったお話です。
当時、関東大震災が起きた数年後に昭和金融恐慌が起こりました。
関東大震災で被災した人々や企業を救うために新規国債の発行により融資制限をゆるくして救済を図ったのですが、いざ貸し出したお金を返してもらおうとすると全くお金が返ってきませんでした。
どういうことかというと、すでに利益を出す力もない倒れかかっていた企業を助けたため、逆に関東大震災によって救済された企業から余計にお金が返ってこなくなったのです。
これは以下の記事から全5話で解説しておりますので合わせてご覧ください。
なので、108兆円規模の経済対策を行うことはうれしく喜ばしい反面、インフレといったリスクも伴います。
まとめ
コロナショックで毀損した日本経済を立て直すために、安倍総理は過去最大規模とも言える108兆円の経済対策を打ち出しました。
その108兆円は2019年に日本経済が消費した量の1/5にあたり、それは2.5ヶ月分の消費金額であることがわかりました。
ただ一方で、まだ閣議決定もしておらず、何かが決まったわけではなくて、安倍総理が言葉に発しただけです。
ここから細部を詰めていくのかもしれません。
どんよりと曇った国民の心を、この経済対策で晴らしてほしいものですね。
あおりんご