どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。
2020年7月1日に日銀から短観が発表されましたので、順にみていきましょう。
今回は前回発表時の2020年4月発表では確認できなかったコロナが経済へ及ぼした影響が浮き彫りとなりました。
【日銀短観 解説のバックナンバー】
日銀短観の見方
日銀短観の見方や説明はこちらで紹介しておりますのでご覧ください。
業況判断DI
まずは業況判断DIです。
業況判断DIの赤枠でかこっているところをみると、全産業で景気は悪化していることがわかります。
今回の発表はコロナショックを受けた直後の各地域のロックダウンなどを含めた短観となりましたので、日本の実体経済に大きなダメージを与えていることがよくわかります。
製造業は2019年6月、9月、12月、2020年3月につづき大幅なマイナスとなっています。
ここ1年間では日本のお家芸である製造業が著しくダメージを受けています。
軒並みマイナスを見せている今回の短観の中で個人的に気になった点が
- 建設:15(前回比-21)
- 通信:8(前回比–6)
- 情報サービス:20(前回比–25)
- 宿泊・飲食サービス:–91(前回比-32)
です。
建設業はコロナショックの影響を受けているものの、すでに長期的に建設する建物の計画がされているからなのかまだまだ底堅い印象があります。
通信や情報サービスはコロナショックによってテレワークなどのITサービス系が調子がいいのかと思いきや、前回よりもマイナスであることがわかりました。
やはり一番ダメージを受けたのは宿泊・飲食サービスで、かなりひどい状況であることがわかります。
前回の短観まとめでもお伝えしましたが、宿泊・飲食サービスなどのビジネスはこれから「本当にインバウンド需要を取りこむのか、別路線で行くか」といった転換期を迎えることになるでしょう。
日本人にフォーカスしたビジネス展開をしなければ、いつ外国人が戻ってきてくれるかわかりません。
次にチャートで見てみましょう。
製造業では、このコロナショックにおいて停滞期に入っており、2001年のドットコムバブル崩壊後の景気感、またリーマンショックに匹敵することがわかりました。
非製造業においても同様に、このコロナショックで停滞期に入っており、2001年のドットコムバブル崩壊後の景気感、またリーマンショックに匹敵しています。
需給・在庫・価格判断
つづいて、需給・在庫・価格判断を見ていきましょう。
コロナショックで全産業において引き続きモノやサービスが過剰に供給され、在庫は増えていることがわかります。
このことから、モノやサービスが売れずに経済のお金の回りが滞っていることがわかります。
最終的には物価の減少につながります。
<関連>【日本の経済指標】消費者物価指数とは?わかりやすく解説
前回でも少し解説しましたが、在庫が増えれば貸借対照表では資産項目である流動資産が増えていきます。
一方で溜まっていく在庫が売れずに使い物にならなければ、使い物にならない分を減損という形で特別損失を損益計算書で計上しなければいけません。
さらに売れなければ損益計算書では売上が上がらず、利益を出すためには人件費などの経費を削減することとなります。
売れなければ価格を下げるしかありませんので、企業の商品価格は下がります。
そうなればキャッシュフローが停滞し、会社の現金回りであるキャッシュコンバージョンサイクルが動きにくくなります。
<関連>【会社の現金】フリーキャッシュフローとその計算式とは
<関連>【経営の隠れた生命線】企業のCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)とは
企業にとって最悪の状況と言えます。
例えば、あなたがりんごを売る商売をしているとして、だれもりんごを買ってくれる人がいなければその在庫はどんどん溜まっていきます。
しかし、売り物であるりんごには賞味期限があります。
りんごの賞味期限が来てしまい、売るはずだったりんごが使い物にならなければその分を損失計上しないといけなくなります。
企業はモノやサービスを売って損失を出さないためにために人に買ってもらえるまで価格を下げなければいけません。
よって、販売価格もさらに下落しています。
では、企業の売上が上がらなければどうなるのでしょうか。
それはあなたの給料も上がらないということを意味しています。
モノの値段が上がらないため、デフレはさらに深くなるということですね。
<関連>【わかりやすく図解】経済の物価を表すインフレーションとデフレーションとは
これらを表しているのが上図の図5.となります。
設備投資など
設備投資・研究開発投資額
つづいて、設備投資・研究開発投資額を見ていきましょう。
設備投資額では、大企業では少なからず投資していくことが伺えるものの、中小企業は資金繰りが厳しいためか設備投資できない状況であることがわかります。
研究開発投資額に関しては全企業において修正もなく計画通りの見通しとなっています。
ソフトウェア投資額
ソフトウェア投資額を見ましょう。
ソフトウェア投資額はテレワーク推奨のためか、全産業に置いて投資していくことが伺えます。
土地投資額
設備投資の最後に、土地投資額を見ていきましょう。
土地投資額に関しては、積極的に投資を行う状況ではないことが伺えます。
新卒採用計画
6月と12月にのみ発表される新卒採用計画についてです。
残材の企業では効率化や人件費削減に動いているため、新卒採用ではかなり厳しい状況であることがわかります。
資金繰り・金融貸出態度
最後に、企業の資金繰りと金融貸出態度を見ていきましょう。
企業の資金繰り
前回の短観まとめでは、下落傾向のトレンドを示していましたが、滝のように下に突っ込んだ形となりました。
コロナショックの影響で、企業の資金繰りも厳しい状況が伺えます。
金融機関の貸出態度判断
金融機関の貸出態度は、金融機関のお金の貸出が「ゆるい気持ち」か「きびしい気持ち」かの判断です。
現状の金融機関の貸出は「ゆるい」と判断されています。
ただコロナショックで企業の信用が揺らいだためか、金融機関の貸出態度が下振れていることがわかります。
個人的に金融機関の貸出がゆるい原因は、金融機関は民間の借り手が少なく、利益が上げられていないので、貸出金利を下げてでも貸し出さないといけない状況であると考えています。
まとめ
今回は2020年7月1日に日銀から発表された日銀短観をみてきました。
前年2019年10月の消費増税からコロナショックとつながって日本経済は大ダメージを受けてしまい、景気はさらに停滞していることがわかりました。
そうなってくると企業全体のキャッシュフローも悪化していく可能性がかなり高くなります。
その結果、企業の信用も毀損していくでしょう。
日本の経済をコントロールしているのは日銀や日本政府も含まれます。
日本政府は2度の補正予算案を国会で通しました。
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日銀は大規模な金融政策でお金回りを良くするために実行中です。
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早くコロナが回復することを祈ります。
あおりんご