2. 金融と日銀

【どうなる】日銀が保有ETFを売却決定!ただし全売却には120年?

日銀、保有ETFの売却決定1

どうも、あおりんごです。

2025年9月19日、日本銀行が発表した金融政策決定会合にて、日銀が買い入れていたETFの売却決定が市場に鳴り響きました。

これは、日銀のETF買い入れ終了と同じように歴史的です。

今後はどうなるのでしょうか?

結論、売却金額が小さいことから影響は軽微と見ています。

そこで今回は日銀保有のETF売却決定について解説していきます。

この記事のポイント

  1. 日銀保有のETF売却決定
  2. 日本株式の上昇相場で一番儲けたのは日銀
  3. ただし保有全て売却完了に約120年ほど要する

日銀が保有するETFを売却決定!

まず日本銀行ETF買い入れ終了が2024年3月に決定していた

日本行銀は2024年3月19日、金融政策決定会合にてインフレが伴ってきていることから金融政策を方向転換。

植田現総裁は今まで黒田元総裁が行ってきたマイナス金利政策やETF新規買い入れなどの大規模金融緩和の解除、終了を決定しました。

2025年9月19日の金融政策決定会合で日銀保有のETF売却を発表

日本行銀は、買入れ終了から1年半経過した2025年9月19日の金融政策決定会合にて、インフレが伴ってきていることから金融政策をさらに方向転換した。

2%の「物価 安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断し、 金融政策の枠組みの見直しを行った。出典:金融政策決定会合(2025年9月19日)

売却決定に至った要因は物価上昇の目標が伴ったからと説明しています。

過去15年の日本株式市場で一番儲けたのは日銀

金融危機やコロナ禍において、市場で買い手が現れないときに日本の金融市場を崩壊させないために、大きく株価が下がっている際は集中的に株価を下支えるために買い入れしていました。

アベノミクスと黒田バズーカ
グラフ1. 日銀のETF買入れ推移

今回、日銀のETF売却が決定。まさに歴史的

ご覧いただいたとおり日銀は過去にたくさんのETF買い入れを行ってきました。

日銀ETF買い入れ金額合計
グラフ.2 2010年から2022年までの日銀ETF年間買い入れ金額
(Ref: 日本銀行)

2010年から2022年までの合計で約35兆円ものETFを買いつけ、2024年度の日本銀行の貸借対照表では残高が約37兆円まで登りました。

そこでついに、そのETFを売却することを決定しました。

日銀、保有ETFの売却決定1

実は存在している日銀のETF売却ルール

実は日銀内ではETF売却(処分)時のルールが存在します。

日銀が保有するETFなどを売却する際、とくに重要視される売却ルールが以下2つです。

【重要】日銀によるETF等の売却(処分)

別途(下記記載)以外の売却では以下のことを考慮し、市場情勢を鑑みて適正な対価により売却する。

  • 日銀の損失発生を極力回避すること
  • 市場に撹乱的な影響を与えることを回避すること

つまり、市場に影響を与えることを避け、損失を回避できる状況です。

2025年9月19日現在の日経平均株価は 45,045円 をつけていることから、日本銀行側からすると十分に損失を回避できる状態であることがわかります。

どうなる?全保有分のETF売却完了に約120年を要する

さて、売却決定が金融政策決定会合にてなされたわけですが、今後はどうなるのでしょうか?

 

結論、現状は大きな影響はないと見ています。

それでは発表された情報をもとに売却ペースはどれくらいなのか?見ていきましょう。

 

日本銀行が金融政策決定会合で決定した売却金額は 年間3,300億円 です。

保有残高が約37兆円あるため、単純計算では保有分すべてを売却する場合は 約120年 を要することがわかります。

日銀、保有ETFの売却決定2

売却決定の号令が鳴り響いて、株式市場ではパニック売りのため午後以降一時大幅な下落を見せましたが引けに向けて株価は少し回復しました。

今後、売却ペースは加速する!?

上記のように全部売却しようとすると120年かかる計算となりましたが、一方で今回の金融政策決定会合の資料では以下のようにも記載されています。

なお、ETF等の処分を開始した後、上記の基本方針や今後の売却の経験を踏まえ、
金融政策決定会合において、売却ペースを見直すこともありうる。

現在の売却ペースでは120年かかると計算しましたが、今後の状況の変化では売却ペースも大きく加速することも考えられます。

まとめ

この記事のポイント

  1. 日銀によるETF買い入れ終了
  2. ETF売却の可能性はある

参考

【重要】日銀によるETF等の売却(処分)

ETF等の売却について次に該当する銘柄は速やかに処分

  1. 買い入れたETF等に関し、単元未満が生じた場合に単元以下を売却
  2. 該当するREITの銘柄別保有数が総額の10%を超えた場合
  3. 監理銘柄または整理銘柄となった場合
  4. TOB(公開買付)に応じる場合
  5. 発行元の自己投資口取得に応じる場合

なお、上記以外の売却では以下のことを考慮し、市場情勢を鑑みて適正な対価により売却する。

  • 日銀の損失発生を極力回避すること
  • 市場に撹乱的な影響を与えることを回避すること