どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。
先日、東京商工リサーチより2020年4月の全国企業倒産状況が発表されました。
今回の発表もコロナショックによってどれだけの影響が出ているのか注目していました。
結論からお伝えすると、倒産件数は以下のとおりです。
- 前月比:+0.4%
- 前年度比:+15.19%
となりました。
それでは今回も詳細を見ていきたいと思います。
以下の記事は前月の2020年3月時点の全国倒産件数ですので、合わせてご覧下さい。
東京商工リサーチから発表された全国企業倒産状況
2020年4月の全国企業倒産状況
2020年4月の全国企業倒産状況は以下の通りとなりました。
倒産件数:743 件
- 前月比:+3 件(+0.4%)
- 前年度比:+98 件(+15.2%)
負債総額:144,990 百万円
- 前月比:+39,041 百万円(+36.9%)
- 前年度比:+38,074 百万円(+35.6%)
全国企業倒産件数の解説
東京商工リサーチの調査によると、注目されていた新型コロナウイルス関連の倒産は全件743件のうち58件(7.8%)となりました。
一方で、2月から4月までの新型コロナウイルス関連の倒産は以下のように推移しています。
【新型コロナウイルス関連の倒産】
合計:84 件
- 2月:1 件
- 3月:12 件
- 4月:71 件
緊急事態宣言が発表されたのは4/7(火)であるため経済的ダメージは大きく、やはり4月からの倒産件数が増加傾向になってきたことがこのデータから伺えます。
内容を見ていくと、
- 人手不足関連の倒産:45 件(前年同月:26 件)
- 人手不足関連のうち後継者難:37 件(前年同月:15 件)
- 破産倒産:660 件(全体の88.8%)
- 負債1億円未満の倒産比率:72.9%
- 負債100億円以上の倒産:3ヶ月ぶりに発生
- 従業員10人未満の倒産比率:85.3%
- 従業員300人以上の倒産:2ヶ月連続で発生
- 中小企業倒産件数:743 件(全体の100%)
となりました。
これらのことから、3月時点と同様に大企業ではなく主に従業員が10人未満の小企業が破産倒産していることがわかりました。
さらに倒産が目立った業界は
- サービス業:253 件(前年同月 +17.1%)
- 小売業:114 件(前年同月 +29.5%)
- 卸売業:88 件(前年同月 +15.7%)
- 製造業:99 件(前年同月 +19.2%)
- 建設業:111 件(前年同月 -4.3%)
となりました。
グラフから見る全国企業倒産状況の推移
グラフから見る全国企業倒産状況の推移は以下の通りとなっています。
ここ一年間で、倒産件数や負債総額が大きく増加しているというわけではなく、チャート的には横ばいです。
一方で、2020年1月から減少傾向にあった倒産件数と負債総額ですが、倒産件数は横ばい、負債総額は増加していることがわかります。
個人的な考察
前回もこの内容を掲載しましたが、個人的には基本的に日本の企業は倒産しにくい財務体質(貸借対照表)になってきているのではないかと考えています。
それを裏付けるデータとして、財務省が発表している「法人企業統計」のうちの自己資本利益率を見るとわかります。
グラフ2. は直近のデータは日本企業の94万社から算出された自己資本利益率で、1955年から2019年の直近までの推移となります。
こちらによると、現在の日本企業全体の自己資本比率は
自己資本比率:43.7%
とかなり高い位置で推移していることがわかります。
とくに2000年を越えてから、財務体質が大きく回復してきていることがみてとれます。
つまり、昔ほど大きな倒産はしにくくあるのが日本企業の特徴であることがこのグラフ2.からわかります。
一方で、日銀が発表した3月時点での日銀短観では、日本の景気は傾いていることがわかりました(以下の記事参照)。
今後、大きなダメージを受ける企業がどれだけ耐えれるのか、追って見ていきたいと思います。
まとめ
今回は東京商工リサーチが発表した全国企業倒産状況についてお伝えしました。
2020年3月時点と同様に目立った倒産というのは見られなかった結果となりました。
一方で、緊急事態宣言が発表されてから1ヶ月経ちまして新型コロナウイルス関連の倒産件数が増加していることは今回のデータでもわかります。
これからまだ2~3ヶ月の経済停止が続くようであれば、経済の波は大きく変わり目を迎え、その波に企業がどれだけ耐えられるかどうか、というところが焦点になってきそうです。
あおりんご