どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。
みなさん、物価変動について考えたことがありますでしょうか。
なかなか実生活ではあまり考えたことがないかもしれません。
ご存じの方も多いかと思いますが、日本は平成バブルが弾けてからずっとデフレです。
物価が下がる一方で、現在は横ばいです。
この状態を一般的に「失われた30年」とも言います。
ぼくたち平成生まれの人は、生まれてからずっと「何か」が失われたままです笑
そして物価が下がっている状態はあまりいいものではなく、また物価が上がりすぎてもいいものではありません。
このあたりはバランスとも言うべきでしょうか。
そこで今回は、
- 物価変動
- インフレーションとデフレーション
- 物価変動が起こる要因
などにフォーカスしてお伝えしたいと思います。
インフレーションとデフレーションのしくみ
現金と物価変動
以前の記事で、現金は物価変動によって目減りする可能性があるとお伝えしました。
現金が目減りする可能性がある物価変動についてを図1. で説明していきましょう。
図1. のように、現在の物価ではわかりやすく、1つのりんごが100円で買えるとします。
そこから物価が上昇、下落するとします。
図2. より100円だった物価から120円になるようにモノの値段が上がれば、物価が上がったと表現します。
反対に、100円から80円になればモノの値段が下がったことになりますので、物価が下がったと表現します。
これらのように、モノの値段が上下することを物価変動と言います。
物価変動はさらに次のように表現できます。
物価が上昇した状態:インフレーション(インフレ)
物価が下落した状態:デフレーション(デフレ)
従いましてインフレとデフレは物価が変動したあとの状態を指します。
個人からみたインフレーションとデフレーション
個人からみた場合、物価変動は今まで100円で1つしか買えていなかったものが、買えなくなったり、逆にお釣りが出たりもします。
どういうことかというと図4. のように、本来100円で買えていたものがインフレーションによって120円も払わないといけなくなるため、現金の価値は低いことになります。
一方で、デフレーションによって80円になれば100円よりも少ないお金でモノが買えるため、現金の価値が高いこととなります。
つまり、デフレの状況下では現金は強いですが、インフレの状況下では現金は弱い立場になってしまいます。
これらが基本的なインフレーションとデフレーションのしくみです。
このことから現金の本質は「いつの時代でも現金という資産に投資して(持って)いればよい」わけではないのです。
企業からみたインフレーションとデフレーション
企業からみたインフレーションとデフレーションについて考える前に、注意しなければいけないことは以下のことです。
インフレは「悪」、デフレは「良」という議論
モノの値段が上がるからといって「インフレはだめなんだ!!!」「デフレがいい!!!」という議論は避けていただきたいです。
なぜなら、デフレの状態では、ぼくたちのお給料も増えないからです。
これが企業からみたインフレーションとデフレーションにつながります。
企業の損益計算書の構造からわかるように、ぼくたちのお給料は基本的に、企業の売上が伸びることではじめてお給料が上がるものです。
なので、売上が上がっていない(または人材として企業に貢献していない)のに、お給料が上がるわけがありません。
どういうことかというと、図5. のように企業がりんごを100円で販売していたとします。
そしてそれらが物価変動によって、販売価格が以下の図10.のように変動したとすれば、
個人からみたインフレとは違って、企業からみたインフレでは100円よりも高い値段で売れることになります。
一方で、企業からみたデフレでは100円よりも低い値段でしか売れないことになります。
企業経営はどんな業界や業種であっても、利益の最大化が最大の目的です。
企業の利益が上がれば、企業としての価値が上がることを意味しています。
企業の価値が上がることによって、上場企業であれば株価も上昇するでしょう。
一方で、企業の売上が下がれば下がるほど1番どこに影響するかというと、企業にとって1番コストがかかる「人件費」、つまりぼくたちのお給料なので、給料が上がらないか、もしくは下がるという結果となります。
つまり、企業からみたインフレとデフレを考えた場合、デフレがすばらしい状態というわけでもないことがわかります。
そして、インフレは「悪」、デフレは「良」という議論はよいものではなく、それは状況次第で考え方が変わるということになります。
物価変動の原因
また、物価が上下する要因として以下のことが考えられます。
- 企業側の材料費、人件費などのコストが上がる、または下がる
- 現金の流通量が増える、減る
つまり、材料費などのコストが上がれば企業は利益を出すために販売する値段を上げなければいけません。
また景気刺激策や金融政策のために、日本銀行が発行するお金の量が増えて日銀当座預金から世の中に出回ることになれば、モノの値段が上がります。
お金の量が増えることについて図7.で詳しく解説します。
つまり普段は100円でりんごが買えていたものが、お金の流通する量が世の中に増えていった場合、企業側は必ず値上げします。
これらの結果、物価が上昇し、インフレの状態になります。
日銀は日本で唯一、お金を発行する権利を持っています。
そして発行したお金がマネタリーベースからマネーストックに流れはじめて実体経済に影響すれば、世の中はインフレになります。
マネタリーベースとマネーストックの違いについては以下の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。
このような要因から物価は変動します。
インフレスパイラルとデフレスパイラル
インフレスパイラルとは
インフレスパイラルとは以下のことです。
消費が拡大し、モノが売れる。すると物価も上昇し、所得も上がる。
さらに消費が拡大していく。
このサイクルをインフレスパイラルという。
ということです。
しかし一方で、インフレスパイラルが行き過ぎると、ハイパーインフレという状態になります。
実は日本でもハイパーインフレを1945年~1949年ごろにかけて経験しました。
デフレスパイラルとは
つづいてデフレスパイラルとは以下のことです。
消費が縮小し、モノが売れない。すると物価も下落し、所得も下がる。
さらに消費が縮小していく。
このサイクルをデフレスパイラルという。
ということです。
ちなみに今の日本はご存知の通り「デフレ」で、しかもこの「デフレスパイラル」に入っています。
日本の物価を知るGDPデフレーター
次に現在の物価を知るためには、GDPデフレーターを確認する必要があります。
以下のGDPデフレーターをみてもわかるように、物価は平成に入ってから下がり続けており、直近では横ばいです(図8.)。
GDPデフレーターについては以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
まとめ
さて今回は、物価変動に伴うインフレーションとデフレーションについてお伝えしてきました。
ポイントは以下の3つです。
- 物価が上がればインフレ、下がればデフレ
- インフレは「悪」、デフレは「良」という議論は不毛
- 一方で平成はデフレ時代だった
個人的には物価が上がってほしいと考えています。
物価が上がることによって今までよりも企業の売上が上がれば、それだけお給料も増えて、さらに好循環な人生生活が過ごせると考えているからです。
デフレが「良」という時代が早く終わってほしいものです。
あおりんご