どうも、あおりんごです。
あなたの人生を振り返ってたときに「順風満帆だった」と胸を張って言えますか?
おそらく決してそうではないでしょう。
山あり谷あり、生きていくことで必死に人生ではなかったでしょうか。
もちろんぼくもそうです。
企業もあなたの人生と同様に、順風満帆な成長の一辺倒では必ずしもありません。
いずれ傾くものです。
人であれ企業であれ、誰でもいつの時代でも調子のいいときはあるものです。
そんなときは何をやってもうまくいきます。
しかしながら、本当の真価が問われるときというのは調子が悪くなったときです。
血ヘドを吐くくらい苦しいときにどう立ち上がるのか、そのときに試されます。
そこで今回は『 巨象も踊る 』についてご紹介したいと思います。
この本はアメリカの大企業であるIBMが倒れかけて窮地に陥ったときに立てなおした経営者 ルイス・ガースナー氏のお話です。
ぼくが好きな本のひとつです。
- 経営者の考え方を知りたい人
- 苦しいときにどう立ち向かうか知りたい人
- 迫りくる新時代への対応を知りたい人
『巨像も踊る』はどんな本?
著書 / 著者 など
- 著書:巨象も踊る
- 著者:ルイス・ガースナー(訳:山岡 洋一)
- 発行日:2002年 12月 2日 第1刷発行
本のストーリー
経営の書籍というものはどうしても輝かしい成功を描くものが多いです。
輝いている本を読むことも好きですが、人が放つ眩しさは一瞬であり、どちらかというと日の目を浴びないことの方が多いと感じています。
日の目を浴びないときは苦しいときです。
だからぼくは「人が苦しいときにどう立ち向かったのか」を書いている本も好きなのです。
さて、この本は1990年台前半に世界的に有名なIBMの経営が大きく傾いたときに、社外からルイス・ガースナー氏を呼んできて、会社を立て直した内容です。
大きな企業であれ、小さな企業であれ経営難になる危機というのは起こります。
どのように対応したのか、
必読すべき3つの理由
超大企業の潰れかける臨場感がひしひしと伝わる
この本はアメリカの大企業であるIBMが潰れかけの窮地に陥ったお話で、そこでの臨場感はダイナミックに伝わってきます。
さらに、ルイス・ガースナー氏が潰れかけの企業を大きく立て直していく様はまさに大きな象が踊っているかのようです。
序盤はIBMからルイス・ガースナー氏への誘い話から、半ばではCEOに就任した彼が企業が窮地に陥った課題のあぶり出し、最後には大きなチャレンジをする流れで本は書かれています。
この流れが読んでいて本当におもしろいです。
キャッシュフロー重視の経営戦略の大切さがわかる
キャッシュフロー重視の経営戦略とは、経営戦略のひとつであり、特に会計上の数字を意識した戦略です。
キャッシュ、つまり現金です。
現金は人間で言う血液のことで、人間も血液の流れがよければげんきですが、反対に血液の流れが悪くなれば人間も体調を崩してしまいます。
企業も同じで現金の通り道が悪くなれば、経営が悪化してしまいます。
つまりキャッシュフローとは、企業内の現金の流れのことで、この流れをよくすること、さらに売り手から現金を回収するところまでを考えた戦略といえます。
本の内容に戻ります。
ルイス・ガースナー氏が当時のIBMの課題をあぶり出している中でこう言っています。
これまでやってきたことが、うまくいっていないのは明らかだ。この3年で160億ドルが失われた。
出典:巨象も踊る
さらに、この本にはこのようなことばも登場します。
「フリー・キャッシュフロー」こそが企業の健全性と業績を知る上で、もっとも重要な財務指標なのだ。
出典:巨象も踊る
ルイス・ガースナー氏はこの2つからキャッシュフローに注目していることがわかります。
さらに、IBM立て直しには徹底したキャッシュフロー重視の戦略が必要であることも伝わってきます。
ここで言いたいことは、とくに重視した戦略が「IBMのブランド価値や商品力の向上ではない」ということです。
つまり、売り上げた金額ではなく、利益ベース、さらには営業キャッシュフローと投資キャッシュフローまでを意識して、企業に現金を残して貸借対照表の現金比率を高めていくことで財務体質をよくし、さらに市場に生き残ることが経営にとって必須条件であることが伺えます。
これは自分たちの家計ににおいても同じことが言えます。
お金が溜まっていく戦略をとった人生設計にしたものですね。
迫りくる新時代への対応を知れる
IBMの経営立て直しには、立ちはだかった大きな壁がありました。
それは、今は当たり前になった「クラウド」という新しいテクノロジーです。
当時はまだクラウドという言葉はありませんでしたが、すでにネットワーク上でユーザーがつながっていく “だろう” と予測されていました。
それがわかる文章がこの本にはあります。
雲、つまりネットワークが、個人や企業、政府機関などの間の膨大な情報交換を可能にし、支えるというのが、その趣旨だ。
出典:巨象も踊る
このお話は約30年前の1993年のお話です。
現在で言う新しいテクノロジーの「エッジコンピューティング」といったお話といえます。
このときすでにルイス・ガースナー氏が率いるIBMは新時代の到来を予測していると同時に、現状のビジネスモデルでは対応できなくなることも考えていました。
キャッシュフロー戦略を取ろうとしている中で、新しいテクノロジーへのチャレンジもしていく行動力にとても刺激を受けたことを覚えています。
この時代にルイス・ガースナー氏が迫りくる新時代に対応していく姿は、いつの時代でも見逃せない内容となっています。
まとめ
今回は『巨象も踊る』という本をご紹介しました。
この本を読むべき3つの理由は以下のとおりです
- 超大企業の潰れかける臨場感がひしひしと伝わる
- キャッシュフロー重視の経営戦略の大切さがわかる
- 迫りくる新時代への対応を知れる
ぜひ読んでみてください。
あおりんご
参考文献
- ルイス・ガースナー(2002)『巨象も踊る』日本経済新聞社.