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【人間の動きが戦いの火種】地図からみる地政学とは?わかりやすく解説

投稿日:2019/4/29

更新日:2020/1/9

 

どうも、あおりんご(@aoringo2016)です。

 

2020年という節目のめでたい年を迎えた矢先に「アメリカがイランの主要人物を殺害した」というニュースが飛び込んできて、世界全体が緊迫した状態となっています。

 

中東はいつも不安定な土地で危ないイメージを持たれている方も多いかと思いますが、それにはしっかりとした理由があります。

 

そして、新聞やニュースをみていると「地政学的に」とういうワードを見たり、聞いたりすることが多くなってきたようではないでしょうか。

「そういや聞いたことあるけど、難しくてよくわからないなぁ」

と感じている方も多いかと思います。

 

そこで今回は、むずかしい地政学について、地政学の祖ともいうべき人からのお知恵をお借りして、世界地図を基にした大陸上での地政学(人の動き)をわかりやすくご紹介したいと思います。

 

地政学とは

まず地政学と聞いて、何を思いうかべますか?

地の政治学?

 

そうです、そのとおりです。

つまり一般的には

地政学(Geopolitics):地理から政治を考える学問(考え方)

という意味です。

自然の地理を理解し、そこから各国の政治を考えるということです。

 

地球は大きく2つに分けることができます。

それは  です。

 

そして人々(諸国)の動きは 地球の自然 に左右されます。

昔は飛行機も車も電車もありませんでした。

なので、人は生きづらい土地を避けようとします。

 

例えば、

  • ヒマラヤ山脈を越える
  • サハラ砂漠を越える
  • 海路で喜望峰を越える

などで、人はこのような大自然に勝てませんでした。

 

ちなみに、アフリカの最南端である喜望峰をはじめてまわったのはバスコ・ダ・ガマで、つい500年前の最近のできごとなのです。

 

人が自然に勝てない理由は、生きるための 食料や水などを補える場所が少なく、生きるための環境がとてつもなく厳しいから です。

 

このように「人の動きは自然に左右される」ということなので、地政学は 地球の自然環境が国家の政治的な動きや影響に注目した学問や考え方 と言えます。

 

 

「地政学」という表現はあまりにもむずかしい表現になりますが、個人的な解釈は「世界を支配するための人間がとれる行動」というように捉えています。

 

地政学の祖

そんな地政学という概念ですが、1900年代前後に活躍した地政学の祖が2人がつくりあげました。

 

ハルフォード・ジョン・マッキンダーアルフレッド・セイヤー・マハン です。

 

地政学の本を読んでいれば必ずこの2人が登場し、どちらも自然の地形から戦争の戦略を考えていました。

 

地政学_0
図0. 地政学

ハルフォード・ジョン・マッキンダー

1861年~1947年

イギリスのゲインズバラに生まれました。

その後オックスフォード大学で法律を学び、地理学に転じました。

オックスフォード大学地理学院初代院長を努め、ロンドン大学政治経済学院院長などを歴任しました。また1910年~1922年に下院議員も務めています。

 

マッキンダーが最初に地政学を考えたと言われており、ランド・パワー(陸上兵力) について説いていました。

 

アルフレッド・セイヤー・マハン

1840年~1914年

アメリカのニューヨーク州に生まれました。アメリカの海軍士官、海軍史家、海軍戦略家で、海軍少将も務めていました。また海軍大学校校長を務め、海軍戦略を講義していました。

 

マッキンダーとともに地政学の祖としても知られていますが、マハンは一方で シー・パワー(海上兵力) について説いていました。

 

世界地図(大陸)からみた人の動き

さて、地政学を理解するためには 今までの歴史から人が地理的にどういう動きしてきたのか を知る必要があります。

なので、世界地図の大陸をみながら人の動きをざっくりと確認していきましょう。

 

【注意点】

  • 今回は主にランド・パワーを論じたマッキンダーの説明
  • Google Mapを利用

 

地政学_1
図1.

人の動きの歴史は、主にユーラシア大陸とアフリカ大陸の北部が中心となります。

そのためユーラシア大陸とアフリカ大陸がすっぽりと収まる尺度で見ていきます。

 

ぼくたちはよく日本が中心となる世界地図を小さい頃から見てきましたが、世界からすれば日本はほんと大陸の端っこです笑

 

それではこの画像をもとに説明していきましょう。

 

5つの地域

地政学_2
図2.

用意したユーラシア大陸とアフリカ大陸の地図では、まず以下の5つの土地に分断することができます。

  • ハートランド(北と南)
  • 沿岸地域(東と西)
  • アラビア
  • 砂漠

 

ハートランド(心臓地帯)

ハートランド:海につながる道は遮断されて、また雨も少なく、人が住みにくい土地。大陸の中心ともあって、心臓という意味。

 

今では空路や鉄道が通っていますが、それもこの100年くらいに通れるようになりましたので、それまでは分断されていた土地です。

 

沿岸地域

沿岸地域:海に面しており、地球上で唯一、人がたくさん住んでいる土地

 

アラビア

アラビア:沿岸地域と比べれば砂漠があり、海への道もナイル川、紅海、ユーフラテス川で遮断さているが、まだ人が住める土地

 

砂漠

砂漠:サハラ砂漠、イメージするだけで人が住めそうにない土地。

 

:ロシアのこの地域は氷に覆われた場所で、人が住めない土地。

 

地政学_3
図3.

このように、人が住める土地と住めない土地に分断することができました。

 

さらに、図3.のように人が住みにくい土地(ハートランド、アラビア、砂漠)を結ぶと赤い線で囲われます。

 

ここは人にとって分断された土地といえます。

 

ここは陸地を横断するベルトのようにつながっていますので 分断されたベルト と呼ぶようにします。

 

分断されたベルトと人口

分断されたベルト

地政学_4
図4.

このように分断されたベルトを見ると、人が住んでいる土地が 東側西側 の両極端に分かれることがわかります。

 

この土地は沿岸地域と呼びました。

ユーラシア大陸とアフリカ大陸をひとつひとつ紐解いていくと、ヨーロッパと東南アジアや東アジアは大陸の中で人が唯一住めた土地だったんですね。

 

では、なぜここに人が住めたのでしょうか。

 

風と人口

地政学_5
図5.

この地域は海が近いということもあり、海から流れてくる モンスーン偏西風 の影響により沿岸地域には  をもたらしてくれました。

 

風が雨を運んでくれたおかげで農作物がよく育ち、ヨーロッパやインドから東のアジアでは  食料が確保 できました。

 

つまり生きるための食料が確保できたわけです。

そのため人が住めた、というわけです。

 

地政学_6
図6.

そして、現在の人口は以下のとおりです。

東の沿岸地域(アジア):35億人

西の沿岸地域(ヨーロッパ):8億人

 

たくさんいますね笑

現在はこの2つの沿岸地域に世界人口の半分が住んでいるということになります。

 

ちなみに余談ですが、なぜアジアとヨーロッパという名前がつけられたかというと、アッシリア語で

東(日の出):Asu

西(日の入):Ereb

と書くことができ、ここからアジアとヨーロッパと呼ぶようになりました。

 

分断されたベルトの中のアラビア地域

地政学_7
図7.

アラビア地域は、図7.のように黄色で囲った土地は山脈と砂漠があり非常に厳しい場所であると伺えます。

そんなアラビア地域の中でも 農耕ベルト と呼べる土地はアラビア地域で人が唯一住めました。

 

ここにも、上記した沿岸地域と同様の理由で雨が降ったため農作物がよく育ち、農耕ができました。

したがってこの土地では王国や文明も栄えていました。

 

地政学_8
図8.

その文明は世界史の教科書にも散々出てきたように、その文明は エジプト文明メソポタミア文明 でした。

 

大陸の交差点

地政学_9
図9.

分断されたベルトというのは人がなかなか住みづらく、砂漠や山脈があるため移動にも適しませんでした。

そのため、これらの地図から見てもわかるように、分断されたベルトの中でも人が唯一住め、移動しやすいアラビア地域は 2つの沿岸地域の交差点 となりました。

 

アラビア地域という土地は暦が西暦で数えられるはるか昔から争いごとが 絶えない土地 として知られています。

 

その理由はこの地図でもわかるように、3方向(ヨーロッパ側、アジア側、アフリカ側)から人が交差する土地だったからです。

3つの異なった人種が交わる土地ですから争いも絶えません。

 

今日でもよくIS(イスラミックステート)の話題がでたりしていました。

そして近代の中東問題は、イギリスが三枚舌外交をやったおかげですごく解決しにくい問題になっています。

三枚舌外交は「アラビアのロレンス」が有名な映画ですよね。

 

さらにイラク、イラン、サウジアラビアやシリアといった中東が今でも問題となっていて、世界情勢を揺るがしかねない火種の地域となっていますが、それはこの10年や20年にはじまったわけではないんですね。

 

世界のへそ、エルサレム

地政学_10
図10.

この赤丸の地域は中東であり、2つの沿岸地域がアラビア地域で交わる交差点であることがわかりました。

 

で、これはぼくも丸を書いてみたあと「あっ!!!」とおどろいたことがありました。

 

地政学_11
図11.

そう、世界のへそ、エルサレム がこの赤丸の中心に描けてしまうんです。

本当に世界のへそとも言える交差点の中心にエルサレムがありました。

不思議ですよね笑

 

エルサレムといえば、3つの宗教の聖地です。

  • ユダヤ教
  • イスラム教
  • キリスト教

 

つまりエルサレムとは、人が交わる世界の中心であり、この地域での戦いに勝つためには絶対に獲っておきたい戦略的地域でもあったんですね。

 

ちなみに現在のエルサレムはイスラエルにある都市となっています。

 

地図と人の動き

このように、人は食料も水もない地域では動けないため、人が動きやすい範囲は自然(地球の地形や環境)によって限られることがわかりました。

 

またその中でも比較的人が通りやすい道を進んでいくと、大陸の交差点がアラビア地域になることがわかり、そのなかでも真の中心がエルサレムであることもおどろきでした。

そしてこの地域は大陸の交差点であるため、非常に争いごとの多い地域でもありました。

 

地政学を知る意味(まとめ)

最近、よく話題に「地政学」ということばをよく聞きました。

最初はどういうことかな?とすごい疑問でした。

ですが、調べていくうちに人が地球の自然にそって政治的に、つまり人が世界を支配するための欲望で動いてることがわかりました。

 

20世紀のうちには、世界最高峰のエベレスト登頂を達成し、またアムンゼンやスコットの冒険家のおかげで南極点や北極点にも足を運ぶことができ、世界の地理的観測はほぼ終わりました。

そして、人は地球から一番近い衛生である月にまでたどり着くことができました。

 

21世紀ではインターネットの時代に入り、世界各国は盛んに宇宙衛星を打ち上げ、宇宙から世界を監視する(できる)ようになりました。

 

そんなわけでGoogle Mapが使えているのですが。

20世紀前半にもどって、マッキンダーやマハンにiPadを渡したらなんと言いますかね?

「オーーーーーマイガーーーーー!!!!!」

とかですかね笑

 

では21世紀は、人はどういう動きをしていくのでしょうか。

まずひとつ考えられるのが金融です。

お金の動きが活発になる前の戦いというのは肉弾戦、つまり体と体の戦いでした。

今では経済制裁という言葉もあるように、お金の動きが分断されてしまえば国境を分断されたことに等しいです。

なので、金融界を抑えることは大切なことなのです。

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そして宇宙です。

アメリカを中心に、世界の国々が最後のフロンティア(開拓場所)である宇宙へ進もうと研究を進めています。

 

最後にもうひとつの開拓場所、それはサイバー空間です。

人はすでに地図上では見えないところで戦っています。

インターネットを中心にブロックチェーンやAIといった技術も発展してきました。

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では、地政学という考え方は関係なくなるのでしょうか?

ぼくはそんなことはないと考えています。

宇宙やサイバー空間を支配することも必要ですが、なによりも人間が生きる土地を支配しなければ本当に支配したと言えません。

 

地理的な位置をみて、世界がどう動こうとしているのかを考えると、非常におもしろい動きが見えてきます。

 

例えば、日本は地理的にもすごく近い中国、韓国、北朝鮮、ロシアなどの動きには政治的な動きが盛んに見られます。

中国に目を向ければ習近平国家主席が南シナ海に進出しようとしたり、一帯一路構想を進めていたり、トランプ大統領がメキシコとの国境に壁を作ると言ったりイスラエルの首都をエルサレムと認めたり、、それらはすべて地政学的動きと言えます。

 

人が地球に住んでいる以上、いつの時代も地図をもって動くことは至って普通のことです。

また、テクノロジーの発達によって一段と世界との距離はグッと近くなりました。

一方で、人との交差はそれにともなってリスクも生じます。

そういった視点を「地政学的リスク」と言います。

 

おそらくこれから地政学、または地政学的リスクといったことばをより耳にするでしょう。

そんなときに少しでもこの記事を参考にしていただければと思います。

 

参考文献

  • H・J・マッキンダー(2008)『マッキンダーの地政学』原書房.
  • A・T・マハン(2017)『マハン 海戦論』原書房.