有利子負債と自己資本比率

有利子負債比率と自己資本(4592 サンバイオ)

どうも、あおりんごです。

 

twitter上で有利子負債比率と自己資本の関係性のご質問をいただいたので、ここにまとめたいと思います。

有利子負債と自己資本比率

質問内容

最近話題のサンバイオの財務実績で、

「2018年3月に発表された利益剰余金から2018年12月に発表された利益剰余金から

悪化しているのにもかかわらず、有利子負債比率が改善されているのはなぜでしょうか?」

というものです。

サンバイオがどういった企業なのか事業内容を確認しながら、

有利子負債比率と資金の流れを見ていきたいと思います。

サンバイオの事業概要(銘柄スカウターより)

  • 再生細胞薬開発会社
  • 脳梗塞や外傷性脳損傷など中枢神経系疾患を対象に再生細胞薬の開発・製造・販売
  • 低コストで大量に細胞薬を製造する技術を基盤に健康なドナーから採取した細胞を培養、病気などで失った身体機能の回復を促す再生細胞薬を研究・開発
  • パイプラインは神経再生薬「SB623」、機能強化型・間葉系幹細胞薬「SB618」、筋肉幹細胞「SB308」の治療薬
  • 主力の「SB623」は慢性期脳梗塞・外傷性脳損傷・網膜疾患・パーキンソン病・脊髄損傷等へ適用、第2臨床試験へ
  • (2018年帝人とのライセンス契約を解消、権利が返却)、北米では大日本住友製薬と共同開発
  • 2018年再生医療等製品「SB623」の製造で日立化成の子会社と業務提携、ケアネット<2150>と資本業務提携
  • 主要取引先は大日本住友製薬(100%)

 

うーん、、
難しいワードが並んでいますが、つまり再生医療をメインとした薬開発をしている企業です。

 

まずはじめに(研究を経験されている方であればよくわかるかと思うのですが)研究にはお金が相当かかります。

ぼくもある化学物質 10g(だいたい計量スプーンの小さじ2杯分)5万円で買った経験があります(笑)

 

このように研究を進めるにあたって資金が必要となってきます。

利益剰余金と有利子負債比率

2018年  3月 利益剰余金   -10,754百万円

                     有利子負債比率 2.76

 

2018年12月 利益剰余金   -12,304百万円

                     有利子負債比率 0.27

 

利益剰余金はBSとPLをつなぐ数値で、簡単に言うと毎年生み出されるであろう

当期純利益(損失)の積み重ねが利益剰余金で計上されています。

上記利益剰余金では、3月から12月にかけて利益剰余金が -1,550百万円 悪化している ということになります。

 

一方で、有利子負債比率は 2.49 ほど改善されています。

 

有利子負債比率が改善されている原因はなんでしょうか。

これは、BSの仕組みが重要になります。

サンバイオの財務諸表1
図1. サンバイオの財務諸表1

自己資本である 資本金 及び 資本剰余金 が増えていることがわかります。

H31 Q3の決算短信の「(2)財務状態に関する説明」の純資産に資金調達方法が記載されています。

サンバイオの有価証券報告書
図2. サンバイオの有価証券報告書

行使価額修正条項付新株予約権の行使、、つまり

「「MSワラント」によって資本金と資本剰余金をそれぞれ5,552百万円を調達した」 

ということですね。

 

有利子負債比率は下記の式で計算できます。

 

有利子負債比率 = (有利子負債 / 自己資本) x 100

 

よって、有利子負債が返済できていなかったとしても、上に書いた方法により

自己資本を増やせば有利子負債比率は低下するため、改善されているように “見えます” 。

 

実際の負債はというと、、

サンバイオの財務諸表2
図3. サンバイオの財務諸表2

流動資産に計上されている「1年以内返済予定の長期借入金」は減少していますが、

固定負債に計上されている「長期借入金」は増加しています。

 

このため、サンバイオの有利子負債比率は改善されているとは言いにくいのではないでしょうか。

調達した資金の行方

さて、せっかくなので、MSワラントで調達したお金の行先を見ていきたいと思います。

資金調達したお金はBSの資産の部の「現金及び預金」に計上されています。

サンバイオの財務諸表3
図4. サンバイオの財務諸表3

気になったのでPLも見ましたが、

サンバイオの財務諸表4
図5. サンバイオの財務諸表4

お金が研究開発費に注ぎ込まれていることがわかります

やはりこういった研究には多額の研究開発費が必要なんですね。

 

このあとは、キャッシュ・フロー計算書で資産の部に計上された現預金が引かれ、

 

調達した資金が企業から外へ出ていっていることが想定されます。

企業の研究と投資家

個人的にはこういった研究が今まで以上に進んでいくことで、人類が豊かになることは間違いありません。

 

一方で、難しいのは投資家がこういった企業にどのようなスタンスで望めばいいか、ということです。

企業は利益を出すことで、成長し、企業価値が大きくなります。投資家はそういう企業に資金を投じたいと思います。

しかしながら、先が見えない状況が続くと投資しようにも判断がつきにくいこともわかります。

 

研究を経験した身としてはこういった企業をどんどん応援していきますが、

投資家としてはあまりにもハイリスクなので投資対象からは外しています。

まとめ

このように、有利子負債比率だけみれば借金が少なくなっているようになっていますが、

中身を丁寧に確認していくとMSワラントによって資金調達することで自己資本を増やしているため

有利子負債比率が改善されたように見えました。

そして、その後のお金の行方はPL上の研究開発費に注ぎ込まれていることも見てきました。

 

ぼくとしてはこういった次世代の研究に取り組んでいる企業をどんどん応援したい気持ちは十分にありますが、

別の企業に目を向けて投資したほうが、投資家としてはもっと賢明な判断になるのではないか、と考えています。

 

あおりんご

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